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シナジー効果がM&Aを成功に導く
M&Aによって経営資源やノウハウ、販路、人材などを統合することで、1＋1が2ではなく、3にも4にもなるような効果を生み出せることがあります。
これが実現できれば、買い手企業にとっては非常に高いリターンとなり、プレミアムを払ってでも買収する価値があるという判断になるのです。
「事業価値」と「企業価値」の違い
ここで混同されやすい用語について整理しておきましょう。
事業価値：その会社が本業によって将来生み出すキャッシュフローの現在価値
企業価値：事業価値に加えて、遊休資産（使っていない預金や保険など）も含めた全体の価値
実務ではこの違いを厳密に分ける必要はない場面も多いですが、資産の内訳を把握する際には重要な視点となります。
DCF法やCAPMは中小企業に必要？
投資銀行や会計士が使うDCF法（ディスカウントキャッシュフロー）やCAPM（資本資産評価モデル）は、主に大企業向けの理論です。
しかし、中小企業のM&Aでは、もっとシンプルな視点で判断することが一般的です。
実際には、「この会社を買ったら、年間どれくらいのリターンが得られそうか？」
「自社の利益率目標に届きそうか？」といった直感的な投資判断が優先されることも少なくありません。
経営者が「10%の利回りを目指す」と考えれば、それがそのまま割引率となるケースもあります。
M&Aの本質は「稼ぐ力の獲得」
M&Aの本質は、単なる事業の拡大や人材の獲得ではありません。それらを通じて、いかにキャッシュフローを最大化し、企業価値を高めるかがすべての出発点です。
買い手企業は、将来の収益を見越してプレミアムを支払い、経営改善やシナジー効果によってその期待を実現させようとします。つまり、M&Aとは「稼ぐ力を持つ企業を手に入れる投資」なのです。
岸田 康雄
公認会計士／税理士／行政書士／宅地建物取引士／中小企業診断士／1級ファイナンシャル・プランニング技能士／国際公認投資アナリスト（日本証券アナリスト協会認定）
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