富裕層にも、富裕層を目指す人にも読んでほしい
〈ゴールドオンライン新書〉が登場!
穏やかな老後に青天の霹靂
埼玉県在住の田村正彦さん(仮名/68歳)と妻の智子さん(仮名/65歳)は、定年後の暮らしを満喫していました。
夫婦ともに長年正社員として働いてきたため、年金受給額は月額25万円程度。加えて、退職金や預貯金などで老後資金は3,000万円近くを確保。「私たちは年金も貯金も十分だから」と、心置きなく趣味の秘湯巡りに時間とお金を費やしていました。
「会社員時代は忙しくて、旅行なんて年に一度できるかどうかでした。やっと自由な時間が手に入ったんです」
そう語る智子さんは、旅行先で買った温泉の手ぬぐいを大切に飾っています。
出戻ってきた次女
しかし、その穏やかな日常は、ある日を境に一変します。開けていた1階の大窓から派手に帰還したのは次女・美咲さん(仮名/32歳)です。抱っこ紐に幼子をぶら下げ、片手には大荷物、反対の手に4歳の長女。これらをすべて一人で実家まで運んだ根性には正彦さんも脱帽しました。出産前まで細腕だった次女の腕はこの4年間で見違えるようにたくましくなっていました。
「スーツケースが玄関を通らなくて」ただならぬ様子に智子さんが駆け寄ります。
「もう無理。離婚するしかないと思う……」消え入りそうな声で美咲さんはいいました。
正彦さん夫妻にとって、寝耳に水の報告でした。美咲さんは現在、パート勤務で年収は100万円台。2人の幼い子どもを抱えて離婚した場合、実家に戻る以外に選択肢はありません。
親世代の支援負担はどこまで想定すべきか
田村夫妻のように老後の生活設計が整っているようにみえても、家族関係の変化は“想定外の出費”をもたらすリスクです。
厚生労働省「令和4年国民生活基礎調査」によれば、高齢者世帯のうち約13.6%が「子どもとの同居」を選択していますが、そのなかには、結婚や離婚、就職難などによる“逆同居”も含まれると推察されます。また、総務省の「家計調査年報(家計収支編)2022年」では、高齢夫婦のみの無職世帯の平均消費支出は月約24万円。田村夫妻のように、支出を20万円以内に抑えていても、子世帯との同居が始まれば一気に増加するでしょう。
さらに、子どもや孫への援助は一時的な支出では済まないこともあります。家賃補助、生活費援助、進学費用など、「情」に流される形で支出がズルズルと拡大するのが典型です。
「この子たちは私の宝なの。あいつ(夫)は養育費なんて払う気がない。お願い。お父さん、お母さん……」美咲さんは両親に懇願しました。
「助けたい気持ちはあるけれど、この先、自分たちが介護が必要にでもなったらどうするのか――。不安でいっぱいです」と智子さんは漏らします。
注目のセミナー情報
【事業投資】5月31日(土)開催
驚異の「年利50% !?」“希少価値”と“円安”も追い風に…
勝てるBar投資「お酒の美術館」とは
【国内不動産】5月31日(土)開催
推定利回り~10%かつキャピタルゲインも狙える!
一口200万円台から投資可能「所有権付き別荘投資」
新しいオーナー制度「COCO VILLA Owners」の全貌