「プレイヤー」としての収入には限度があるが・・・
『金持ち父さん貧乏父さん』の中でも「金持ちは自分のためにお金を働かせる」という言葉が登場します。
「お金を働かせる」とはどういうことでしょうか。
キヨサキ氏は「クワドラント」という単語を使い、お金の稼ぎ方を「従業員」「自営業者」「ビジネスオーナー」「投資家」の4つに分類して詳しく説明していますが、ここではもっとシンプルに分かりやすく、次の2つの言葉で話を進めていきます。
まずは「プレイヤー」の稼ぎ方。
自営業でお店を開いている人や、雇われて働いている会社員、プロのスポーツ選手がここに属しています。世の中のほぼすべての人がプレイヤーとしての一面をもっているでしょう。自分が汗を流し頭を使った労力に応じて、お金を稼ぐ。労働収入を得ている人たちがプレイヤーです。
「プレイヤーで稼げる額には限界がある」というのが私の考えです。作業に専念した時間に応じて収入が上がるのがプレイヤー。時間は有限ですから、収入もどこかで頭打ちになるというのがあなたにもイメージできるはずです。
超一流のプロ野球選手のような、いわゆる1億円プレイヤーと呼ばれる人たちがいることも間違いありません。しかしそれは例外で、本当に一握りの輝かしい、人間離れした存在です。
プレイヤーとしての収入だと必ず限界がある。では、どうやったらさらに収入を増やすことができるのか。
ここで登場するのが2つ目の稼ぎ方。「オーナー」です。
オーナーは権利収入で稼ぐ人たち。家賃収入を得ていたり、投資をして配当を受け取っていたり、楽曲を提供して印税をもらっていたりしている、権利収入をもつ方々で、基本「自分が何もしていなくても」お金を稼ぐことができる仕組みをつくっているのがオーナーの特徴です。このオーナーとしての稼ぎ方をわきまえていれば、たとえ本業の仕事(=プレイヤーとしての自分)が忙しくて時間がつくれなくても、権利収入で自動的にお金が入ってくるフローを生み出すことができます。
「オーナー領域」の働き方を確立すれば余裕が生まれる
多くの人はプレイヤーからはじまります。そしてプレイヤーのまま終わる人もいます。ファイナンシャルリテラシーの高い人は、プレイヤーとして稼いだ元手を使って、オーナーの領域を開拓します。
最初はプレイヤーが9、オーナーが1程度。これは時間的な労力ではなく、自分に入ってくる収入の比率です。権利収入はお金さえ投資すれば自動で増えていくので、時間が経てば経つほど加速し、いずれ労働収入を抜き去ることでしょう。
プレイヤーとしてあくせく働いていて、ほかのことに目を向ける余裕のない人ほど、オーナーの稼ぎ方を知ってほしいと思っています。
それはまさに「お金を働かせる」という概念。自分の出したお金をもとに、たくさんの人が動いてくれ、商品やサービスが流通し、元金以上のお金が自分のもとへ戻ってくる、この概念です。
もちろんすべてのオーナーとしての稼ぎ方がうまくいくとは限りません。投資にしても、儲かるときもあれば損するときもあります。しかし収入の柱を複数もっていれば、赤字をほかの黒字で埋めることができます。すべてが一気に悪くなることなんてまずあり得ません。1つの損をほかのすべての得で埋め合わせるようにすれば、利益をいつまでも生むことができます。
かくいう私も、かつてはプレイヤー一辺倒、なんでもかんでも自分でやろうとしていました。やるべきことがパンパンに膨らんで、いつ弾けてもおかしくないくらい、心に余裕のない日々を経験したことがあります。
しかし、いまの私は違います。
人と作業を分担し、任せるところは任せて、自動化できるところは自動化して、人脈をつなぐことで加速させ、オーナー的なポジションを一つひとつ確立して収入源をたくさんつくれるまでに至ったのです。この方法が定着してからは、収入が一気に増えました。
プレイヤーとオーナー。労働収入と権利収入。
2つの自分を演出することで、収入の途絶えることがない人生を歩むことができます。
【図表 クワドラントのイメージ(高野勇樹の場合)】