ヘッジファンドの円買いは過去最高水準…「米国売り」のリスクが残るなか、米ドル安・円高が続く可能性は?今週の米ドル/円〈140~145円〉で下値試しか【国際金融アナリストが解説】

4月22日~4月28日の「FX投資戦略」ポイント

ヘッジファンドの円買いは過去最高水準…「米国売り」のリスクが残るなか、米ドル安・円高が続く可能性は?今週の米ドル/円〈140~145円〉で下値試しか【国際金融アナリストが解説】
(※画像はイメージです/PIXTA)

米株・米債・米ドルが同時に売られる「トリプル安」が一服したとはいえ、ヘッジファンドの円買いは過去最高水準に達しています。日米関税協議の行方も読みにくいなか、今週の米ドル/円はどこまで円高が進むのでしょうか。マネックス証券チーフFXコンサルタント・吉田恒氏が解説します。

今週の注目点…日米の為替調整と「米国売り」の関係

ところでこの2点は、基本的には両立が難しいものでしょう。つまり、「米国売り」のリスクが残るなかで、日米交渉において円高・米ドル安リスクが高まった場合、「米国売り」の拡大が制御不能になる懸念があるからです。その意味では、「米国売り」のリスクがこの先も続くかが、日米交渉の円高リスクにも影響するのではないでしょうか。

 

この「米国売り」、つまり米国株と米国債、米ドルといった「トリプル安」、米金利の上昇にもかかわらず米ドル下落となった「悪い金利上昇」は、トランプ政権1期目、2018年にも見られた現象でした。そんな「悪い金利上昇」は、このときは1~3月にかけて2~3ヵ月続きました(図表3参照)。そういったことを参考にすると、今回の場合も「悪い金利上昇」、「米国売り」がもう終わったのか、まだ微妙ではないでしょうか。

 

出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成
【図表3】米ドル/円と日米10年債利回り差(2016年~2020年) 出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成

 

もしも、これまで見てきたように「米国売り」のリスクがまだ完全に払拭されていないなら、そういったなかでの米ドル安・円高への誘導は、米ドルのコントロール不能な下落をもたらしかねない懸念があるのではないでしょうか。

 

一般的には、当初の予想以上に米ドル安・円高が広がり始めたのは、日米間の円安是正の可能性も一因との理解が多い気がしますが、私はむしろ「米国売り」のリスクに注意する必要があると思います。仮に日米が円安の是正を目指していたとしても、そういったなかで「米国売り」リスクが拡大し、円安是正の米ドル安・円高がコントロール不能のリスクが出てきた場合はいったん立ち止まる可能性があり、最近の状況はそれに近いのではないでしょうか。

 

これまで見てきたように、「米国売り」が再燃するリスクが払拭されるまでは米ドルの反発は限られ、下値が広がりやすい状況が続く可能性が高いのではないでしょうか。ただしここまで米ドル安・円高が続くなかで、為替市場のポジションは大きく米ドル売り・円買いに傾斜していると見られ、その修正が米ドル/円の下落の歯止め役となり、きっかけ次第では米ドル反発の後押し役になる可能性はあるでしょう。

 

ちなみに、CFTC(米商品先物取引委員会)統計の投機筋の円ポジションは、15日時点で買い越し(米ドル売り越し)がこれまでの最高を大きく更新し17.1万枚と一段と拡大しました(図表4参照)。低金利の円といった意味では異例の大幅な買い越しであり、為替市場ではさらなる米ドル売り・円買い余力が限られ、きっかけ次第では米ドル買い戻しが広がりやすい状況が続いているという面はありそうです。以上を踏まえ、今週の米ドル/円は140~145円で予想したいと思います。

 

出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成
【図表4】CFTC統計の投機筋の円ポジション(2022年1月~) 出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成

 

 

吉田 恒

マネックス証券

チーフ・FXコンサルタント兼マネックス・ユニバーシティFX学長

 

※本連載に記載された情報に関しては万全を期していますが、内容を保証するものではありません。また、本連載の内容は筆者の個人的な見解を示したものであり、筆者が所属する機関、組織、グループ等の意見を反映したものではありません。本連載の情報を利用した結果による損害、損失についても、筆者ならびに本連載制作関係者は一切の責任を負いません。投資の判断はご自身の責任でお願いいたします。

 

注目のセミナー情報

【海外不動産】12月18日(木)開催
【モンゴル不動産セミナー】
坪単価70万円は東南アジアの半額!!
世界屈指レアアース産出国の都心で600万円台から購入可能な新築マンション

 

【事業投資】12月20日(土)開催
東京・門前仲町、誰もが知る「超大手ホテルグループ」1階に出店!
飲食店の「プチオーナー」になる…初心者も参加可能な、飲食店経営ビジネスの新しいカタチとは?

 

【関連記事】

■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】

 

■親が「総額3,000万円」を子・孫の口座にこっそり貯金…家族も知らないのに「税務署」には“バレる”ワケ【税理士が解説】

 

「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】

 

カインドネスシリーズを展開するハウスリンクホームの「資料請求」詳細はこちらです
川柳コンテストの詳細はコチラです アパート経営オンラインはこちらです。 富裕層のためのセミナー情報、詳細はこちらです 富裕層のための会員組織「カメハメハ倶楽部」の詳細はこちらです 不動産小口化商品の情報サイト「不動産小口化商品ナビ」はこちらです 特設サイト「社長・院長のためのDXナビ」はこちらです オリックス銀行が展開する不動産投資情報サイト「manabu不動産投資」はこちらです 一人でも多くの読者に学びの場を提供する情報サイト「話題の本.com」はこちらです THE GOLD ONLINEへの広告掲載について、詳細はこちらです

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録