日本人にとってなくてはならない「アンパンマン」
「一番好きなキャラクターはなに?」
日本の赤ちゃんや幼児に尋ねたら、みんな大声で叫ぶはずです。
アンパンマーン!
アンパンでできたまんまるな顔。真っ赤なボディースーツ。マント姿で空を飛ぶ。
赤ちゃんや幼児がどれだけアンパンマンを好きか。親御さん、幼稚園や保育園の先生、小児科の先生などはよくご存知のはずです。育児に必須の「ヒーロー」だからです。子育て真っ最中の家庭、保育園、託児所、小児科医院など、乳幼児がいるところアンパンマングッズあり。アンパンマンがいるだけで、小さい子がご機嫌になるからです。
日本でもっとも赤ちゃんや幼児に愛されているキャラクターであるがゆえに、アンパンマンは、ビジネス面でも巨大な「産業」を生んでいます。
1973年、フレーベル館から絵本『あんぱんまん』が発行されて以来、いくつものアンパンマン絵本が刊行されました。アンパンマン絵本の累計部数はフレーベル館発行のものだけで2018年時点で8,100万部を突破(産経新聞2019年2月7日)、日本の絵本の世界では最も部数の多いシリーズです。
1988年から日本テレビ系列で始まった「それいけ!アンパンマン」は、「サザエさん」、「ドラえもん」に次いで、2025年現在、3番目の長寿アニメ番組で37年間全国放送が続いています。映画は1989年の公開以来、コロナ禍の2020年を除き、2024年までに35作品がシリーズ化されました。
アニメ化に伴い、玩具からアパレル、お菓子に至るまで無数のアンパンマン関連商品が生まれました。それを支えるのは2023年時点で2,300を超える豊富なキャラクターです。世界で最もキャラクターの数が多いアニメシリーズとしてギネスブックに掲載されています。アンパンマンのアミューズメントパークも大人気で、全国5ヵ所のアンパンマンこどもミュージアムは、平日も休日も親子客で賑わっており、年間300万人以上が訪れる年もあるといいます。キャラクタービジネスとしても世界屈指の存在で、アンパンマン関連の市場規模は累計600億ドルに達するという試算まであります。
もはやアンパンマンは、日本人にとってなくてはならない存在なのです。
なぜ、アンパンマンはそれほどまでに日本中の乳幼児に愛されるのでしょうか? なぜ世界的なビッグビジネスに成長したのでしょうか? 大人気の秘密のカギを握るのが、アンパンマンの生みの親、漫画家で絵本作家のやなせたかしです。
