(※写真はイメージです/PIXTA)

日本のサラリーマン、平均的な給与はどのくらいなのだろうか。国税庁のレポート「令和5年分 民間給与実態統計調査」によると、給与所得者のなかで正規社員の平均給与は530万円。非正規社員の平均給与は202万円である。「平均」というものは、ピラミッドの上にいる大きな数字が押し上げるものであるから、実際にはこの額より少ないという人も多いであろう。さらに言えば、税引き後の「手取り額」でいうともっと少なくなるはずだ。懸命に働くサラリーマンのリアルを見ていこう。

「資産形成」を阻んでいるものの正体

杢野暉尚氏の著作『人生を破滅に導く「介護破産」』より以下を抜粋する。

 

“介護施設の中でも、とくに安く入所できるといわれる特別養護老人ホーム(特養)の場合、利用料金は入所者本人の要介護度と所得によって決まります。 親が一般的な会社員で定年まで勤め上げ、平均的な額の厚生年金を受給している場合で、要介護3になり特別養護老人ホームへ入所したとすると、ユニット型個室利用で月額18万円程度の費用がかかります。厚生年金の平均受給額は14万円程度であるため、年金以外に年間約50万円の負担が必要です。

 

しかし、年金収入とそのほかの所得が年間80万円以下だった場合、公的な補助があり、同じ要介護3でも月額8万円程度で入所できるため、負担は軽くなります。”

 

子供への愛情で、貯蓄ができなかった高嶋さんが、親の介護施設に大きな金額をかける可能性は、容易に想像がつく。それにより老後資金が貯まらないとあれば、今度は高嶋さんの子供が、金銭的に高嶋さんの面倒をみる日が来るのかもしれない。愛情と清貧の連鎖が、資産形成を阻む社会の改善が望まれる。

 

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