関心はあれど投資は慎重──生成AIをめぐる企業のリアルな温度感
生成AIサービスなどを手掛けるFIXERが2月に実施した大企業経営者らを対象としたアンケート調査によると、「生成AIが今後のビジネスに影響を与える」との回答が約7割に達した。
今後の生成AIへの投資の見通しについては「投資を増やしていきたい」が3割だった。日本の大半の大企業では生成AIの事業への影響を意識しており、生成AIへの投資にも関心が強まりつつある。ただ、多額の投資を計画している企業はなお少なく、AIを通じた日本企業の業務効率化や生産性の向上には十分とは言えないのが現状だ。
「生成AIが全くビジネスに影響しない」との回答は7%のみ
調査はFIXERが全国の従業員300人以上の企業の経営者を対象に1月30日~2月1日に実施し、800件の有効回答を得た。情報・通信のほか、金融・保険、エネルギー、不動産、流通・小売りなどの企業が対象となった。なお、中小企業庁の定義によれば、製造業では「資本金3億円以下または従業員300人以下」が中小企業にあたり、それを超える企業は大企業に分類される。本記事では、当調査対象企業を“大企業”として記載している。
アンケートで、生成AIが今後のビジネスに与える影響について聞いたところ、「非常に大きく影響する」が23.4%、「やや影響する」が46.1%と合計で約7割に達した。「あまり影響しない」は22.8%、「全く影響しない」は7.8%で、大半の経営者がAIの生産性向上への効果や役割を無視できないと考えていることがわかる。
生成AIは急速に進化しており、文章だけではなく、プログラミングや画像、音声など多くの生成ができるようになってきた。近い将来に会社員の既存業務の大半を生成AIが代替するようになると指摘する専門家も少なくない。
今後の生成AIへの投資については「大きく増やしていきたい」が5.4%、「増やしていきたい」が24.6%となり、「投資を増やしていきたい」との回答は3割に達した。「現状と変わらない」は44.3%で、7割以上が現状維持または投資を増やすと答えている。「生成AIが今後のビジネスに影響する可能性が高い」と考えている経営者が多いことが企業の投資意欲にも反映されている。
「生成AIに1億円以上投資」は大企業でも5%
将来的に生成AIに投資したいと考えている金額について聞いたところ、「100万円以上の投資をしたい」との回答は32.3%だった。前回調査(23年10月)と比べて1.1ポイント上昇したものの、半数にも達しなかった。「1億円以上投資したい」との回答も5.7%にとどまり、前回調査から1ポイント低下した。
生成AIは新たな技術であるため、中国発の「ディープシーク」の登場など、その動向や進化が激しい側面がある。こうした背景から多くの大企業経営者は現時点では生成AIへの大規模な投資には二の足を踏んでいるようだ。
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