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将来の年金見込み額に驚愕、「たったこれだけ？」
52歳のAさん（男性）は、中小企業で働く年収680万円の会社員です。土日・祝日は確実に休めて年収はそこそこ。仕事に不満はありません。
Aさんにとって、休日が確保できることは何より重要でした。というのも、ここ数年はアイドルを応援することが生活の中心で、毎週末イベントに行ったり、仲間と集まったりと“推し活ライフ”に情熱を注いでいるからです。
独身で寂しいといった考えは一切なく、自分のために時間もお金も使える人生に満足していました。前向きな性格のAさんは、老後についてもポジティブ。「今と同じように楽しく暮らせれば最高」と、深く考えることはなかったといいます。
しかし、52歳の誕生日を迎えたある日、日本年金機構から届いた1通のはがきを読んで、考えは一変します。そのはがきは、それまで毎年届いていたけれどまともに見たことがなかった「ねんきん定期便」です。
そこには、このまま働き続けた場合の年金見込み額が書かれていました。それによると、Aさんの年金見込み額は月にして15万円程度。現在の月収の3分の1にも達しない額です。
「は？ たったこれだけ？」
Aさんは思わず叫んだといいます。
いくらもらえる？年金のリアル
公的年金は2階建ての仕組みで、自営業者だった人がもらえるのは1階部分の老齢基礎年金（国民年金）のみ。会社員や公務員だった人は、1階部分の老齢基礎年金に加えて、2階部分の老齢厚生年金（厚生年金）を受け取れます。
2025年度の老齢基礎年金の年金額（満額）は6万9,308円です。一方、老齢厚生年金の受給額は人によって異なり、計算式は以下の通り。
【厚生年金受給額の計算式】
平均標準報酬額（≒平均月収＋賞与）×5.481／1,000×加入月数
正確に計算するためには「標準報酬額」で計算する必要があります。標準報酬額とは厚生年金の標準報酬月額とは、月々の給料を1～32の等級に分けて表すもので、上限の32等級＝月65万円です。
つまり、年収が高いほど厚生年金を多くもらえるわけではなく、一定の収入を超えると厚生年金は増えなくなるのです。高年収の人ほどたくさんもらえると考えていると、受給額の現実に驚くことになるわけです。
「自分はそこそこもらっている」「年金保険料もかなり払っている」と思っていたAさんも、想像以上に少ない見込み額に老後が不安になったそう。
「月15万円の年金じゃ生活するのがやっとですよね。さすがにちょっと冷静になりました（笑）。推し活に使っている金額は年200万円ぐらいかと思いますが、正直なところ計算しきれていなくて。まぁ、貯金が増えていないのが、使ってしまってる証拠です。これから稼ぎが増える見込みはないですし、つい集めてしまうグッズはもちろん、握手会のためのCD大量購入や遠征費なんかを減らして、貯金を増やそうと思っています」
こう話すAさん。定年まで8年あるタイミングで気づけたことは、幸運だったといえるかもしれません。独身でライフステージに変化がないと、支出の見直しをすることがないまま老後に突入するケースも少なくないからです。
現状把握なしでは老後に備えることはできません。年1回届くねんきん定期便を無視してきたという人は、必ず目を通し、年金見込み額を確認しましょう。
特に50代になると、給与水準が今後同水準で推移し、かつ60歳まで年金に加入すると仮定して計算された、より現実に近い「見込額」が掲載されるので、老後の計画を立てやすくなります。
今を楽しむことも大切ですが、老後になってから「こんなに生活が苦しくなるとは」と後悔しないよう、使うお金と貯めるお金のバランスを取りながらやりくりしていくことをおすすめします。
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