ゴールドオンライン新書最新刊、Amazonにて好評発売中!
『司法書士が全部教える 「一人一法人」時代の会社の作り方【基本編】』
加陽麻里布(著)+ゴールドオンライン (編集)
『富裕層が知っておきたい世界の税制【カリブ海、欧州編】』
矢内一好 (著)+ゴールドオンライン (編集)
『司法書士が全部教える 「一人一法人」時代の会社の作り方【実践編】』
加陽麻里布(著)+ゴールドオンライン (編集)
シリーズ既刊本も好評発売中 → 紹介ページはコチラ!
“担当者を100%信頼できるか”という不安
Aさんのケース、「自分ならどうするだろう?」と考えた方も多いのではないでしょうか。今回のAさんは、特に相続や退職金などで大きなお金が動くときに起こりがちな、ごく一般的な問題といえます。ここで改めて疑問が浮かんでくるでしょう。
「果たして、その担当者は本当に100%あなたのためだけを考えて提案を行っているのか?」
もちろん、なかには顧客第一の精神で動く担当者もいるでしょう。しかし現実として、金融機関の営業職には販売目標が課せられていることが多いのも事実です。これは自動車や不動産など、ほかの営業職にも共通する話ではありますが、筆者が思うに金融商品には“ほかの商品と決定的に違う点”が存在します。
金融商品とほかの商品との決定的な違い
たとえば車の場合、購入して納車された瞬間から「移動手段」としての価値が提供されます。家電製品ならば、買ったその日から生活を便利にしてくれるでしょう。仮に「営業成績だけを考える担当者」から車を買ってしまったとしても、車そのものが持つ価値は即座に手に入ります。
ところが、金融商品は購入した瞬間に「目に見える形」で価値が提供されるわけではありません。むしろ手数料など、目に見えにくいコストが先に発生するケースも多く、肝心の「運用成果」は将来にならないとわからないのです。つまり、買うタイミングや運用する期間が非常に重要であり、それを信頼できるかどうかわからない担当者に頼り切りにしてしまうのはリスクが高いといえます。
とりわけ、Aさんのように運用の知識が乏しい状態だと、提案された商品の本質を自分で見極めるのが難しくなりがちです。そうしたときの対応として、重要なのは以下の2点です。
そもそも本当に運用が必要なのか?
相続等でまとまった金額を受け取ると、「運用しなければ損をするのでは?」と考えがちです。しかし、まずは本当に運用が必要かどうかを冷静に見極める必要があります。今後の生活費や医療費、もしものときの備えなど、何年先までどの程度の資金が必要かを計算してみましょう。十分な預貯金で日々の暮らしをまかなえるのであれば、慌てて運用に踏み切る必要はありません。むしろリスクの高い投資を始めてしまうことで、想定外の損失を被る可能性もあります。
まずはご自身やご家族のライフプラン全体を整理し、「どの程度の資金を」「どの期間」「どの程度のリスクで」運用するのかを考えることが肝心です。
