多くの税理士はやりたがらないが…1億円超の遺産でも「税務調査」の確率をグンと減らす正攻法とは?

多くの税理士はやりたがらないが…1億円超の遺産でも「税務調査」の確率をグンと減らす正攻法とは?
(※写真はイメージです/PIXTA)

相続税の申告後、税務調査が行われるケースは決して珍しくありません。特に、財産の評価や申告内容に不明瞭な点があると、税務署のチェックが厳しくなることも。しかし、相続問題に詳しい中垣健税理士事務所の中垣健所長によると、“ある制度”を活用すれば、税務調査を回避できる可能性が高くなるといいます。そんな便利な制度にもかかわらず、税理士が関与した相続税申告でも実施されたのは全体のわずか2割強というその制度の正体とは?

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税務調査をサラリとかわす制度

重加算税などの追徴税が課される割合が8割強もある税務調査など、誰もが避けたいものです。実は、税務調査を回避できる可能性が高まる制度があることをご存じでしょうか? それは「書面添付制度」です。

 

書面添付制度は税理士法33条の2に規定されており、税理士が税務申告書に添付する書類です。相続税申告の場合、申告の過程や財産評価の根拠を詳細に記載し、証拠書類をもとに作成されます。これには、亡くなった被相続人の生活や財産形成の経緯なども含まれます。

 

書類を作成するための調査に時間がかかり、担当税理士は重い責任を伴います。そのため現状、本制度に対応できる税理士は限られています。制度自体の認知度は低く、毎年の実施率はおおむね2割強と低い水準です。専門的に扱う税理士であれば税務署の視点も把握しており、適切な書き方を把握しています。

 

書面添付制度を利用して相続税の申告を行うことには、次のようなメリットがあります。

 

・税理士が申告の根拠を明確に示すため、相続税申告書の精度が上がる

・それにより、税務調査を受ける確率が低くなる

・もし申告内容に疑問点があった場合でも、税務署はまず税理士に意見聴取を行い、それで解決すれば税務調査はされない

・申告漏れが見つかって修正申告書を提出した場合でも、過少申告加算税が課されない

 

一方でデメリットとしては、以下が挙げられます。

 

・申告内容の詳細な記載が求められるため、税理士とのやりとりに時間と手間がかかる

・作成に時間がかかり、税理士の責任が重くなるため、追加で報酬がかかる可能性がある

・対応できる税理士が限られる

 

税理士とのやりとりで時間と手間がかかるというデメリットは、逆に申告内容の精度が向上するというメリットにもなります。そして、たとえ追加報酬がかかったとしても、税務調査を受ける確率がグンと減り、追徴課税されることもまずないことから、最終的にはコスパがいいといえます。

 

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