ゴールドオンライン新書最新刊、Amazonにて好評発売中!
『司法書士が全部教える 「一人一法人」時代の会社の作り方【基本編】』
加陽麻里布(著)+ゴールドオンライン (編集)
『富裕層が知っておきたい世界の税制【カリブ海、欧州編】』
矢内一好 (著)+ゴールドオンライン (編集)
『司法書士が全部教える 「一人一法人」時代の会社の作り方【実践編】』
加陽麻里布(著)+ゴールドオンライン (編集)
シリーズ既刊本も好評発売中 → 紹介ページはコチラ!
税務調査を受ける可能性が高まる申告方法
実際の税務調査で多いのが、相続人ご自身が申告書を作成して提出したケースです。筆者の経験上、相続税申告のうち一定数(約2割)が相続人自身による申告と考えられます。
ただ、専門家ではない一般の方が自分で申告書を作成すると、たとえ相続額をごまかす意図がなくても、提出書類が不十分だったり、申告漏れがあったり、財産形成の流れを明確に説明できなかったりすることが多いため、税務調査を受ける可能性が高くなるのです。
申告漏れが多いケース
たとえば、亡くなった被相続人が生前、孫名義の銀行口座を作ってそこにお金を積み立てていて、それに気づかず申告から漏れていたというケースはよくあります。
また、「会社の株主名簿にある株主とその株式の実際の所有者が異なる」名義株が漏れていたということもよくあります。どちらも名義は違っても、亡くなったご本人が蓄えたものであれば、申告しなければなりません。
もう一つが、平成15年から始まった「相続時精算課税制度」を利用して生前贈与を受けていたケースです。相続時精算課税制度では、2,500万円までは贈与時に贈与税がかかりませんが、相続時に遺産に合算されて課税されます。その生前贈与分が漏れていたというケースも数多くあります。
税務調査が入った場合、なるべく相続人の全員が集まるよう税務署から指示され、事細かに質問されます。税務署は事前に徹底的に調べてから来ていますから、ごまかすことはできません。そのため、調査を受ける側の精神的な負担は大きなものになります。
税理士による相続税申告
一方で税理士は、相続税申告の依頼を受けると、税務署と同レベルのチェック体制を整え、過去に申告者がどのように財産形成をしてきたかまで調べ、「申告に漏れがない」形で申告書類を作成します。そのため、申告を税理士に依頼すれば、大きな間違いが起こることはあまりありません。
ただ、そういった場合でも相続人が遺産を隠しているケースがあります。筆者の経験では、申告書も完成し、提出前に相続人に「ほかに遺産はないですよね?」と最終確認したら、「実は……」といって、ほかに1,000万円相当の遺産があるとわかったことがあります。ご本人はできれば隠したままにしたかったのでしょう。
ですが筆者含め、税理士は「申告漏れがあったら追徴課税になる」と説明します。最後には「相続する遺産はすべて提出した」というサインをいただいています。それで追徴課税を恐れて、最後の最後になって打ち明けたのでしょう。
