経済・金融市場への影響
過去2年ほど堅調に推移していた米国株式市場は、2月下旬以降、トランプ関税を巡る不透明感や景気後退に対する懸念から10%程度下落しました。今後の見通しについて、当面はボラティリティ(変動性)の高い展開が続くと考えられるものの、その後は、FRB(米連邦準備制度理事会)による追加利下げが景気を下支えすることへの期待が高まることで、中長期的に上昇していく展開を想定しています。
為替市場では、日銀の追加利上げ観測とFRBの追加利下げ観測を受けた日米金利差の縮小への思惑から、2025年に入り円高・米ドル安が進みました。3月には、トランプ大統領が円安を非難する発言をしたことも円高・米ドル安を後押しする材料となりました。今後の見通しについて、日米の金融政策の方向性の違いから、当面は円高・米ドル安基調が続くと想定されるものの、関税強化は本来、米国内において輸入品の価格上昇によるインフレ圧力を引き起こし、米金利の上昇を通じて米ドル高要因となるため、日米金利差縮小による円高圧力を軽減または打ち消す可能性があります。
参考:関税とは?
「関税」とは、輸入品に課せられる税のことで、“どのような品物を” “どの国から” “何のために” 輸入するかによって税率が異なります。「輸入者」が「品物を輸入する国」に対して支払うのが一般的です。
例えば、日本の自動車メーカーの米国販売子会社が日本から乗用車を輸入して米国内で販売する場合、米国販売子会社が関税を負担し、その関税は米国政府の歳入となります。
関税の主な目的は「国内の産業の保護」です。関税を課すことで輸入品のコストが増加し、競争力が低下するため、国内産業を保護する機能があります。現在、米国が日本などの国から輸入する乗用車に課す関税は、おおむね2.5%ですが、トランプ大統領はそれを25%に引き上げることを言及しています。
参考:相互関税とは?
特定の産業(例:前述の自動車産業)を保護・育成するために関税を課すという観点とは別に、貿易相手国との不均衡を解消する目的で打ち出しているのが「相互関税」です。トランプ大統領は、米国よりも高い関税を課している国は不公平であると批判しており、その国からの輸入品への関税率を同等の水準まで引き上げると主張しています。具体的な手法などはまだ明らかになっておらず、日本も標的になる可能性があります。
東京海上アセットマネジメント
※当レポートの閲覧に当たっては【ご留意事項】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『なぜ「今」、トランプ大統領は関税を強化するのか?【解説:東京海上アセットマネジメント】』を参照)。
※本記事は東京海上アセットマネジメントの投資環境レポート『[なぜ今]トランプ大統領は関税を強化するのか』を抜粋・再編集したものです。
※全文は投資環境レポート『[なぜ今]トランプ大統領は関税を強化するのか』をご確認ください。
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