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3年間で勝率ゼロ%…気が付けば70歳目前
婚活をスタートし、3年が経とうとしています。しかし、これまで計100人以上に申し込みましたが、お見合いには至りませんでした。「これが50代から60代への壁か」とさすがに落ち込みました。
カウンセラーからは「あなたの年齢で20代の女性は無理ですので、同年代の女性にしてください」といわれてしまいます。また、シニア世代が多く登録している結婚相談所に紹介すると提案されますが、中村さんは謎の自信があり条件を譲ろうとはしませんでした。
頑なな様子の中村さんにカウンセラーは続けます。
「子供が欲しいとおっしゃいますが、いまから子供を育てると、最短でも子供がはたちになるころに中村さんは89歳ですよね。さすがにもう働けないでしょう。年金生活でお金はどうするんですか?」
これには中村さんもへこみました。結婚相談所からマッチングアプリへ移行してみました。しかし、やっとマッチングして会ってみてもネットワークビジネスのお誘いや怪しげな投資話の勧誘ばかりでした。そして、もう70歳手前を迎えようとしているいまも相手が見つからないまま独りぼっち。婚活に掛かる費用だけが募っていきます。
シニアの婚活にお金が重要な理由
年を重ね、人生の伴侶が欲しいと考えるシニアは男女ともに少なくはありません。しかし、自分が希望する条件ばかりでパートナーが決まるわけはありませんよね。
まず、いくら子供が欲しくても、60代で20代の女性とお見合いをしようと思っても絶望的なことは常識で考えればわかることです。確かに主にネット上で、資産も決して多くない60代の男性が20代の女性と結婚しているようなケースも散見されます。しかし、これらは職場が同じだったり共通の趣味を通じて知り合ったりと、信頼関係がある程度できて自分の存在が相手の求めるなにかを満たしていることが前提です。
また、2023年の「賃金構造基本統計調査」では、55~59歳の正規労働者の平均月収が約37万であるのに対し、60~64歳では約30万円に低下し、65歳以上になるとさらに減少します。65歳以上の場合、正規雇用が減り、非正規雇用や短時間労働が増えるため、平均月収は16万円~25万円程度(年金収入を含まず)になることが多いとされています。
中村さんの収入は年金を含めなければ月20万円程度と、65歳以上と比較して平均的です。さらに資産はこれから子供を育てていくのに十分とはいえません。築50年になろうかという古いマンションに独りで暮らしている状況です。いつまで働けるかもわからないなか、同年代の女性であっても今後の生活を考えれば経済的な不安を感じるところでしょう。
子供が成人するころには90歳目前。自分がこの世を去る可能性が高くなるころに、大学進学で特にお金が掛かる時期がやってくることが想定されるわけです。年齢のことは当然としても、せめて先のことを心配させない多額の資産がある、もしくは高い収入があるかといった条件は最低限必要といえるでしょう。
中村さんのいう「自分が生きた証」を自身の遺伝子とするならば少しずれますが、もしも本当に子供が欲しいならば、養子をもらうという方法もあります。20代の女性に拘らず、自分と同年齢以下の妻で子供を望む女性とともに、自分が生きるうえで大切にしてきたことを養子に伝え、育てるという選択肢もあるでしょう。
単に若い女性がいいのであれば選ばれる努力をすればよいでしょうが、そもそも自分がなにを求めて結婚したいのかは明確にしておく必要がありますね。当然、経済的に支えることは必要ですから、子供に人並な生活をさせてあげられる程度の経済的な準備は必要です。

