右脳的な感覚を左脳的に分析する
データに基づいて理詰めでものごとを判断する力は、ベースの能力として必要です。
ただしビジネスには、必ず相手、つまり飲食の場合ならお客様がいます。お客様は、人間であり、人間は機械ではないので、データどおりには動いてくれません。
たとえばどこかに行きたいと考えた場合に、そこまで行くためのルートはいくつもあるはずです。最短のルートもあれば、少し遠回りだけど景色の良い道もあるでしょう。どのルートを選ぶのか、そこにデータがあったとしてもどれを選ぶのか、最終的な判断はつまるところ人に委ねられています。
判断を下すのが人である限りは、必ずしも合理的にデータのみで判断するわけではありません。
買い物一つとってもそうです。たとえばジャケットを買いに行ったとします。同じような値段で素材も似たようなもの、でもデザインや風合いは違うジャケットが並んでいたとき、どれを選ぶのかは、たいていの人がそこでの気分で決めているはずです。
要するに「デザインがいい」「風合いが好き」「なんかワクワクする」などの理由をつけて自分を納得させているわけです。
このときの気分がとても重要です。気分が乗らないと、人は動きません。
料理選びは、気分で決まる典型です。私たちの店舗でアンケートを行った際に、お客様が再来店しなくなった理由の1位が「なんとなく」という結果でした。私は飲食店においても、「なんとなく」という右脳的な感覚を、左脳的にロジカルなサイエンスによってその理由を解き明かすことが成功のポイントだと考え、こうした分析に力を入れるようになりました。
『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか? 経営における「アート」と「サイエンス」』という本があります。著者の山口 周さんは大学院修士課程で美学を学んだあとに、コンサルタントになりました。この本で主張されているのが、論理的思考つまり左脳だけではもはや戦えないという考え方です。
教育の世界でも以前はSTEM、すなわちScience、Technology、Engineering、Mathematicsの4分野が重視されていたのに対して、最近ではこれにArtsを加えたSTEAMが重要といわれています。
逆に料理の世界は、これまでArts一筋で勝負してきました。なのでこれからは、STEAMが大切になると思います。
よく練り込まれたレシピどおりに作りこんで、料理ができあがったとします。ここまではデータで再現できる世界です。けれども、その料理を見た人が、それを魅力的だと感じるかどうかまではデータ化できない。
おいしさはデータによって、ある程度まで再現できると思います。けれども、その先の食べる感動は、データだけでは作り出せないかもしれません。
それこそ、料理人の勘で「今日は少し空気が乾いているようだから、ほんのひとさじだけ、仕上げに酢を足しておこう」といったフィーリング、これが必要ではないかと考えるようになりました。
中原 誠
株式会社麺食 社長
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