名前を借りるだけだから…親友の医師から頼まれ〈開業資金3,000万円〉の連帯保証人になった55歳“お人よし”男性の末路【税理士が“理論的な回避策”を解説】

名前を借りるだけだから…親友の医師から頼まれ〈開業資金3,000万円〉の連帯保証人になった55歳“お人よし”男性の末路【税理士が“理論的な回避策”を解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

2020年破産事件及び個人再生事件記録調査によると、破産者の10人に1人以上は「自分以外の借金」が原因だといいます。この「自分以外の借金」のひとつが「連帯保証人」です。そこで今回、事例をもとに連帯保証人の恐ろしさとお願いされたときの“理論的な避け方”をみていきましょう。税理士/CFPの宮路幸人氏が解説します。

連帯保証人は借金を「一括請求」される

今回のケースの場合、主債務者であるBさんが自己破産したため、連帯保証人であるAさんに借金を返済する義務が移りました。このため、AさんはBさんの借金のすべてを引き受けることになります。

 

連帯保証人に対しては通常、「一括請求」が行われます。つまり、連帯保証人は残っている借金の全額を一括で返済しなければなりません。Aさんとしては、突然背負わされた借金を一括で返せといわれ、到底納得できるものではないでしょう。

 

しかし、先述のように連帯保証人は債務者と同等の責任があり、支払いを拒否することができません。

 

数百万円ほどの金額であれば、自分の貯金を取り崩したり、親族等からかき集めれば、なんとか返済できるかもしれません。しかし、今回のように事業資金や住宅ローンの借り入れなどで高額の借金であった場合、ある程度の資産がないと返済することは難しいでしょう。

借金が返せない…Aさんも“連鎖的に破産”するハメに

Aさんは、Bさんの借金について一括返済が難しく、また分割によっても返済する目処が立たなかったため、自身も自己破産などの債務整理をするハメに。

 

自ら連帯保証人という役割を担ったとはいえ、自身とは無関係な借金で、自己破産を余儀なくされてしまいました。

 

2020年破産事件及び個人再生事件記録調査によると、保証債務や第三者の債務の肩代わりなど、「自分以外の借金」が原因で破産してしまった人の割合は12.26%となっています。つまり、破産者の10人に1人以上が、自分以外の借金が原因で破産している計算です。

 

実際、安易に連帯保証人を引き受けたことにより、主債務者・連帯保証人双方が連鎖的に破産してしまうケースがあとを絶ちません。

 

そのため、借入の保証人をお願いする場合は、主債務者も、引き受ける保証人も、こうしたリスクを念頭において依頼・検討するようにしましょう。

 

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