大の里が大関昇進後、待望の優勝
大相撲春場所で大関・大の里が24年秋場所以来3度目の優勝を果たしました。大関昇進後では初の賜杯獲得で、夏場所では2場所連続優勝を目指し綱取りに挑むことになります。
大の里は千秋楽結びで大関琴桜を退け、続いて12勝3敗で並んだ前頭4枚目・高安との優勝決定戦を制しました。新横綱の豊昇龍が途中休場し、大関カド番だった琴桜が賜杯争いに絡めないなか、看板力士としての責任を果たしています。
大の里は優勝インタビューのなかで、「大関になってから思うような成績を残せないなか、今回12勝3敗で優勝できてよかった」、優勝決定戦については「過去本割で2回やっているなかで1回も勝てていない相手だったので、最後は本当に気持ちだと思ったので勝ててよかった。細かいことを気にせずにやるべきことをやれば大丈夫だろうと。体勢は不利だったが、前に出たのでよかった」と勝因を述べていました。
4月の故郷での巡業については「大阪場所で優勝して地元の津幡町に巡業で帰れるのはうれしい。石川はまだ大変な状況が続いているが、こうやって僕の成績、相撲を見てくれていると思うので、少しでも明るい話題が届けられたかなと思う」と語っていました。
一方、35歳の元大関・高安は、3度目の優勝決定戦に進みましたが、悲願の初優勝をまたも逃してしまいました。春場所の高安は8日目に横綱・豊昇龍、9日目に琴桜、10日目に大の里の両大関を撃破する快進撃で13日目には単独トップに立ちましたが、14日目に前頭14枚目・美ノ海に敗れたのが響き、大の里に並ばれていました。過去の優勝決定戦は2回。2022年春場所は若隆景に敗れています。同年九州場所は阿炎、貴景勝との優勝決定巴戦に進みましたが、優勝は阿炎でした。
新横綱として期待された豊昇龍は春場所、途中休場しました。新横綱の休場は1986年秋場所の双羽黒以来です。「右肘関節内遊離体、頸椎捻挫で約2週間の加療を要する」との診断書を提出しました。豊昇龍は新横綱として昭和以降最多に並ぶ3個の金星を与えてしまう結果に。
15日制になって新横綱の場所で優勝した横綱の昇進時・優勝時の景気は、大鵬、隆の里、貴乃花、稀勢の里、照ノ富士の過去5回ともすべて拡張局面に当たっていましたので、豊昇龍の優勝が期待されるも、叶いませんでした。
また、年6場所制後で、雲竜型の新横綱で初日から2連勝したのは11人、すべて景気拡張局面に当たっていたので、こちらのジンクスも期待されましたが、初日は黒星でした。新横綱・豊昇龍は景気が拡張局面であることを裏付ける活躍はできませんでした。
地方場所の懸賞、最高本数を記録
大相撲春場所の懸賞事前申込本数は2,298本で、地方場所では過去最高でした。
※1:過去最多平成30年秋場所2,160本を更新したのは令和5年秋場所2,325本、さらに令和6年秋場所2,455本で史上最高更新。令和7年初場所、事前申し込み2,955本、実績2,815本、どちらも過去最高更新。
※1 令和6年春場所、事前申し込み1,717本、実績1,629本。令和7年春場所、事前申し込み2,298本、実績2,152本。地方場所で過去最高。
横綱・豊昇龍の休場に伴い、不戦敗となった春場所10日目の宇良戦の懸賞36本は9本が取り止めとなり、17本が琴桜と一山本との取組に懸け替えられ、残りは豪ノ山と若隆景の取組などに変更されたということです。
横綱・豊昇龍の休場は予定されていた懸賞本数の減少につながりました。春場所千秋楽結びの一番、大の里と琴桜の大関同士の取組に懸かったのは、60本と地方場所最高になりました。地方場所ではファン投票1位の取組に懸かる森永賞はないので、イレギュラーなことがなければ、最高は60本になります。
地方場所では初めての最高本数が懸かりました。なお60本の懸賞が懸かったことは、NHKの大相撲中継でアナウンサーが伝えていました。
春場所の獲得懸賞数1位も大の里
春場所で一番多く懸賞を獲得したのは、大関・大の里が274本でした。今年の初場所で一番多く懸賞を獲得したのも大関・大の里で327本です。2場所連続で1位という結果。優勝決定戦に進んだ高安が獲得した懸賞は174本で第2位でした。途中休場した横綱・豊昇龍でしたが、獲得した懸賞は141本で第3位。大関・琴桜は8勝7敗でしたが、121本で第4位でした。
大相撲春場所の懸賞本数は2,152本で、地方場所の過去最多本数を更新。10場所連続前年同場所比増加。春場所の懸賞本数は2,152本と、地方場所過去最高だった2017年(平成31年)春場所の1,939本を更新しました。前年同場所比は+32.1%で10場所連続前年比増加になりました。企業収益の好調さ、広告費の増加を示唆しているでしょう。
※3:過去最多平成30年秋場所2,160本を更新したのは令和5年秋場所2,325本、さらに令和6年秋場所2,455本。令和7年初場所2,815本で史上最高更新。
※3:過去地方場所最多平成31年春場所1,939本を更新したのは、令和7年春場所2,152本。
※なお、本投稿は情報提供を目的としており、金融取引などを提案するものではありません。
宅森 昭吉(景気探検家・エコノミスト)
三井銀行で東京支店勤務後エコノミスト業務。さくら証券発足時にチーフエコノミスト。さくら投信投資顧問、三井住友アセットマネジメント、三井住友DSアセットマネジメントでもチーフエコノミスト。23年4月からフリー。景気探検家として活動。現在、ESPフォーキャスト調査委員会委員等。
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