現状判断DIは48.6、3ヵ月連続で景気判断「持ち直し」を維持
12月の「景気ウォッチャー調査」で、現状判断DI(季節調整値)は前月差0.1ポイントと2ヵ月連続で低下し、48.6となりました。11月の現状判断DIが前月差0.4ポイント低下し48.7になったことに続いて、統計的にはおおむね横這いといっていいような低下幅です。
10月の現状判断DI49.1は、24年3月の49.8以来19ヵ月ぶりの水準でした。11月の48.7は、2025年で2番目に高いDIです。12月の48.6は1月と並んで2025年で3番目に高いDI。2月9日には季節調整替えが行われ過去の数字が若干変わるので、その結果にも注意が必要でしょう。
12月の現状判断では、家計動向関連DIは48.2で2ヵ月連続低下しました。飲食関連、サービス関連が上昇したものの、小売関連が低下しています。企業動向関連DIは49.2で2ヵ月連続低下。製造業は上昇しましたが、非製造業が低下しました。雇用関連DIは49.5で2ヵ月ぶりに上昇、2025年では2月の49.9に次いで2番目に高いDIです。なお、12月の現状水準判断DIは46.5で、11月から1.0ポイント低下しました。2ヵ月ぶりの低下ですが、2025年では4番目に高いDIです。
先行き判断DI(季節調整値)は前月差0.2ポイント上昇の50.5となりました。2025年では10月の53.1に次ぐ2番目に高いDIです。企業動向関連DIおよび雇用関連DIが上昇したものの、家計動向関連DIが低下しました。なお、原数値でみると、現状判断DIは前月差0.5ポイント上昇の48.5となり、先行き判断DIは前月差0.7ポイント低下の48.1となりました。
12月の調査結果に示された景気ウォッチャーの見方に関する内閣府の判断は、3ヵ月連続で「景気は、持ち直している」に。また、先行きについても、3ヵ月連続で「価格上昇の影響等を懸念しつつも、持ち直しが続くとみられる」になりました。
中国の渡航自粛要請が百貨店を直撃、12月DIは44.9と5ヵ月ぶりに分岐点割れ
12月の業種ごとの現状判断DI(原数値)をみると、小売り関連の業種で景気判断の分岐点50を上回る業種が5ヵ月ぶりになくなりました。11月半ばに中国政府が日本への渡航自粛要請を出した影響が出て、12月百貨店は44.9と5ヵ月ぶりに50を下回っています。
12月の大手百貨店4社の売上高・前年同月比の単純平均が+0.4%で、10月+7.1%、11月+3.5%に続いて2ヵ月連続で鈍化していることと整合的です。一方、12月は飲食関連50.3、サービス関連は52.4と50超。サービス関連のうち、旅行・交通関連は54.1と5ヵ月連続で、分岐点の50を上回りました。
沖縄が52ヵ月連続で先行き50超を維持、東海・四国も分岐点超えに転じる
地域別にみた12月の現状判断DIでは、沖縄が52.3と11月の55.7から鈍化したものの9ヵ月連続で景気判断の分岐点50を上回りました。関東の中に含まれる東京都が51.4と5ヵ月連続で50超に。また。12月では東海と四国が50超に転じました。先行き判断DIでは沖縄が58.1になりました。21年9月以降52ヵ月連続50超が続いています。
「中国リスク」を韓国・台湾・タイ路線が下支え、冬季観光シーズンの国際線増便が追い風に
12月の「外国人orインバウンド」関連現状判断DIは49.4で11月の53.2から低下し5ヵ月ぶりの50割れになりました。中国政府が日本への渡航自粛要請を出した影響が顕在化したようです。一方、12月の先行き判断DIは47.8と11月の42.1から5.7ポイント改善しました。11月は10月の57.7から急低下したものの、それほどひどくはなさそうだということがわかったのでしょう。
コメント数は10月の42人から11月は120人に急増しましたが12月は68人に低下しました。「冬季の観光シーズンに向けて、国際線の就航便数が前年を上回る計画となっている。中国における日本への渡航自粛呼び掛けの影響は出てきているものの、韓国、台湾、タイなどといった他路線の便数が増加していることから、大きなマイナス要因にはならないとみられる」という北海道の旅行代理店・従業員のコメントに代表されるように。あまり大きな悪材料にはならないという見方が強いようです。
「中国」関連判断DIは、10月ではまだ、現状、先行きともコメント数は1ケタと、通常の状態でした。しかし、11月になると、現状が45人、先行きが125人と急増。12月は、現状が53人と増加しましたが、先行きが68人と急減しました。12月のDIは現状39.6と前月から一段と低下しましたが、先行きは43.8と2ヵ月連続の上昇になりました。
首相の行動に「景気改善」を期待…12月の先行き判断DIは60台を維持し、政権への信頼が継続
12月「首相」関連DIは現状41.7、先行き判断62.5でした。現状判断は、先行き判断は、10月の「新首相」関連先行き判断DIの63.8から11月は58.3に鈍化したものの、12月は60台に回復。コメント数は2人と「新首相」時と比べ大幅に少なくなりましたが、「首相の行動などから、これから段々と景気がよくなることを期待している」という北海道のスナック経営者のコメントがありました。
物価関連は依然50割れの低迷、ガソリン関連は暫定税率廃止を背景に50超へ急浮上
12月の「価格or物価」関連現状判断DIは、42.2と11月の43.8から鈍化したものの、2025年では2番目に高いDIになりました。ただし、依然50割れで景況感の足を引っ張っています。先行き判断DIは44.5で、11月の43.9から上昇。10月の47.4には届かなかったものの、2025年で2番目に高いDIになりました。
ガソリン暫定税率(25.1円/l)は、2025年12月31日に正式に廃止されました。これに先立ち、補助金が11月13日から段階的に拡充され、12月11日には25.1円/l相当の補助が実施されました。12月の「ガソリン」関連DIは現状54.8、先行き57.7でどちらも50超になり、景況感の押し上げ要因になっています。
30年ぶりの政策金利水準に警戒感…現状DIは37.5と景況感の重石に
日本銀行は2025年12月18~19日に金融政策決定会合を開催し、無担保コール翌日物金利の誘導目標を0.5%から0.75%へ引き上げることを決定しました。日銀の利上げは2025年1月以来、11ヵ月ぶり。0.5%を上回る政策金利水準は1995年以来、約30年ぶりです。
12月の景気ウォッチャー調査では、「金利」に関するコメント数が現状16人、先行き34人と11月の4人、10人から増加し、1月の現状16人、先行き48人以来の多さになりました。日銀の金融政策の変更の影響は多方面にわたり、さまざまです。12月の「金利」判断DIは現状37.5、先行き42.6に。50割れなので「景気ウォッチャー調査」では景況感の足を引っ張っていることになります。
加えて、日銀による利上げの影響を懸念する指摘が増えました。「政策金利の引上げに伴い住宅ローン金利が上昇すると、融資額の減額につながり、受注の足かせとなると懸念している」という北陸の住宅販売会社・営業のコメントがありました。
パンデミックの経済的影響がついに終焉か…景気判断の先行きコメントから「新型コロナ」が姿を消す
「新型コロナウイルス」という用語を使ったコメントが、2020年1月から25年10月まで継続してきました。11月では、現状判断でのコメントがまだ4人あったものの、先行き判断ではついに0に。12月でも、現状判断でのコメントは4人でしたが、先行き判断では0になりました。「新型コロナウイルス」の景況感に与える影響はほぼなくなったといえるでしょう。
ミラノ・コルティナ五輪直前調査…期待感は41.7、パリ大会の55.0を大きく下回る
景気ウォッチャーのミラノ・コルティナ冬季オリンピックへの関心・期待は、夏のオリンピック・パリ大会の直前調査に比べ、低い状況。
2026年2月にミラノ・コルティナ冬季オリンピックが開催されます。ひと月前に公表された2025年12月調査の先行き判断で「オリンピック」に関しコメントをしたのは3人、「オリンピック」関連先行き判断DIは41.7でした。
前回の夏のオリンピック・パリ大会のひと月前に公表された2024年5月調査で「オリンピック」のコメントをしたのは10人、「オリンピック」関連先行き判断DIが55.0と50超であったことと比較すると、景気ウォッチャーの期待感は残念ながら小さい状況です。
「中国からのインバウンドの減少は回復のめどが立たず、長引くことが懸念される。ミラノ・コルティナオリンピックへの訪問需要も少なく、需要回復に向けての盛り上がりにはつながらない」という近畿の旅行代理店・支店長のコメントがありました。
※なお、本投稿は情報提供を目的としており、金融取引などを提案するものではありません。
宅森 昭吉(景気探検家・エコノミスト)
三井銀行で東京支店勤務後エコノミスト業務。さくら証券発足時にチーフエコノミスト。さくら投信投資顧問、三井住友アセットマネジメント、三井住友DSアセットマネジメントでもチーフエコノミスト。23年4月からフリー。景気探検家として活動。現在、ESPフォーキャスト調査委員会委員等。
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