独身叔父の死で「5億円」と「年収1,000万円分の不労所得」を手にした氷河期世代・年収410万円の55歳中小サラリーマン、辞表を叩きつけ早期退職のはずが…前言撤回!元職場に全力出戻り懇願のワケ【FPの助言】

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(※写真はイメージです/PIXTA)

資産を相続することは、経済的な安定をもたらす一方で、管理の難しさを伴います。とくに不動産のような高額な資産を引き継いだ場合、維持管理の負担が想像以上に大きく、適切な計画なしには重荷となることも。本記事では、Aさん(仮名)の事例をもとに、不動産相続の落とし穴と資産管理の重要性について、FPの内田英子氏が解説します。

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不動産管理会社からの連絡が…

話題の新築マンションに住み、家賃収入のある生活を送りはじめたAさん。これまでは経済的な理由で制限してきた趣味のサッカー観戦も、存分に楽しめるようになりました。

 

「なんていい暮らしなんだろう」

 

誰もがうらやむ暮らしを手に入れ、すっかり満足していたAさんでしたが、そんな日々も長くは続きませんでした。不動産管理会社からの1本の電話が、Aさんの生活を一変させます。

 

「修繕に約3,000万円の費用が必要です」

 

マンションの購入後、Aさんの現預金は約3,000万円。修繕費用はかろうじて支払えますが、手元の資金はほぼゼロになってしまいます。

 

話を聞くと、この修繕計画は前のオーナーである叔父が策定しており、資金も準備している、と話していたそうです。

 

「もしかしたら、残ったお金は修繕費用の積立だったのかもしれない。今後ひっきりなしで複数ある不動産に修繕が必要となったら……」

 

そう焦ったAさんは、なんとか退職をなかったことにしてもらえないかと前の職場に懇願します。しかし、一度受理した辞表を取り消すことはできません。無情にも拒否されてしまいました。八方ふさがりとなったAさん。焦りは募っていきます。

「家賃収入があるから大丈夫」の落とし穴

「家賃収入が入る」と聞くと、「不労所得が手に入る」「楽に稼げる」といったイメージを抱きがちです。

 

しかし、収入=利益ではなく、実際の賃貸物件の管理には、固定資産税、修繕積立金、管理費の支払い、空室リスクなど、さまざまなコストやリスクが伴います。そのため、実態とリスクを見極めたうえで、長期的な資金管理と経営手腕が求められるのです。

 

とくに修繕費は高額になりやすく、適切な資金確保は不可欠です。しかしAさんはその資金を考えず、自身の自宅購入に使ってしまったため、結果的に資金繰りが悪化してしまいました。

 

不動産は、適切に管理しなければ「持っているだけでお金が減る資産」になりかねません。たとえ家賃収入があったとしても、管理費や税金を差し引くと、想定よりも収益が少ない場合もあります。

 

Aさんのように、「家賃収入があるから大丈夫」と安易に判断すると、後々資金が不足するリスクがあります。賃料収入で生計を立てるのであれば、よりシビアな試算が重要となります。

 

また、資産のほとんどが不動産となると、資産の流動性は低下します。家賃収入は将来を約束されたものではなく、家賃の下落や空室の増加によって収入が減少した場合、生活を圧迫する可能性もあるのです。

 

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