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65歳から心機一転のはずが…年金機構から届いた通知
松木悟さん（仮名・65歳）は、これまで2度の転職を経験し、59歳の時点で営業部の部長職に。60歳になると継続雇用への切り替えで肩書を失いましたが、長年の付き合いで得たクライアントの信頼で、安定した営業成績をキープしていました。
社内の松木さんへの評価も高く、65歳まであと1年になると「まだ引退は早いですよ、残れたらいいのに」という声が周囲の社員から漏れ出たものです。
松木さん自身も、内心もっと長く働きたいと思っていました。趣味はたまにゴルフに行く程度。子どもは独立済み、妻は妻で仲の良い友人たちとの付き合いに満足している模様。有り余るであろう時間を何に使うのか、考えても思い浮かばなかったのです。
「趣味を見つけなきゃな……旅行か？ カメラか？ 犬か猫か鳥でも飼おうか……」
老後の暇つぶしに思いを巡らせる日々でしたが、そんな松木さんに思いがけないオファーが舞い込みました。
松木さんの仕事ぶりを評価していた営業先の担当者から、とある会社の人事担当と話してみないかと紹介されたのです。
話してみると、松木さんの充実した実績に先方は前のめりに。松木さんも、隠居をする前にもう一度チャレンジしてみてもいいだろうと、65歳からの再就職を決めたのです。
現役時代は最高年収1,000万円超だったのが、60歳以降は700万円以下に減少。再就職先では500万円程度を提示され、成績に応じてインセンティブを得られるという話になりました。
現役時代とは違って残業は基本無しという話。そのうえで、世間からすれば十分な収入です。
「またチャレンジさせてもらえることだけでもありがたい。年金も受け取れることだし、お金にこだわらずに頑張らなきゃな」
こうして、65歳で円満退社をするとともに、新しい会社で新たな一歩を踏み出した松木さん。
しかし、再就職先で奮闘していたある日、妻から渡された日本年金機構からの通知。そこに書かれていたのは「年金の一部停止」という、松木さんにとって驚きの内容でした。
