奨学金を借りるのはもはや「当たり前」の時代
経済的な理由で進学を諦めるといったことがないよう、日本にはさまざまな奨学金制度が用意されています。そのうち最も一般的なのがJASSO(日本学生支援機構)の奨学金。過去に「育英会の奨学金」として利用した人も多いのではないでしょうか。
JASSOの奨学金は、返済不要の「給付型」と返済が必要な「貸与型」の2種類に分かれ、貸与型には無利子で借りられる「第一種奨学金」と利子が付く「第二種奨学金」があります。給付型、貸与型共に、学力基準や世帯の収入基準が設けられています。
中には、奨学金に対してお金にかなり困っている家庭が使う制度というイメージを持つ人がいるかもしれません。しかし、JASSOの「令和4年学生生活調査」によれば、奨学金を受給している大学生の割合は55%(昼間部)。実に半数以上が奨学金を利用しており、「借りるのが一般的」ともいえるのが実態です。
返済が必要な「貸与型」は何十年にもわたる返済が必要に
貸与型は社会人になると同時に返済がスタートします。例えば月5万円を4年間借り続けた場合、借入総額は240万円。返済額は年利1.0%で計算すると月あたり約1万4,400円、2%だと約1万5,600円、返済年数は15年。つまり、23歳で働き始めた人は38歳まで返済が続くということです。
もし月10万円を借りた場合、4年間の借入総額が480万円。年利1%なら月あたり約2万2,000円、2%なら2万4,500円ほど。これを20年にわたって返済する計算です。
もちろん繰上げ返還(返済)という方法もありますが、月々の負担を抑えようとすれば上記の通り、長い返済が待っています。
「月1~2万円程度なら……」と思うかもしれませんが、若くて給与が上がらない中で、特に一人暮らしの人にとっては大きな負担に。また、結婚・出産を経て、教育費や住宅ローンの返済などがある中でも、この数万円が一層家計を圧迫することになります。
また、子ではなく親が返済するという場合にも注意が必要です。資産に余裕があれば別ですが、そうでない場合、奨学金の返済を優先することで、自分たちの老後資金を貯められなくなることもあるからです。事例を見てきましょう。
