グレンコアの租税戦略とスイス法人
グレンコアの登記上の本社は、英国の王室属領であるタックスヘイブンのジャージー島にあります。実際の本社機能はスイスのツーク州バールに置かれています。
この租税戦略を理解するためには、以下の3点が重要です。
① グレンコアの登記上の本社があるジャージー島は英仏海峡にあるタックスヘイブンで、法人税の基本税率は0%
② スイスでは州税の比重が大きく、ツーク州は全国平均の約半分の低税率として企業誘致に成功している
③ グレンコアの創業者のマークリッチは、メタルトレーダーとして名を馳せ、かつてG社の前身の拠点ををツーク州に置いていた
スイスに本拠を置く世界最大の海運会社
2022年におけるコンテナ船の会社別ランキング(コンテナ換算)の第1位は、スイスのジュネーブを拠点とするMSCグループです。もともとイタリア国籍であったMSCの創業者はスイス人と婚約しスイス国籍を取得したあと、スイスの銀行から多額の融資を受けて事業を拡大させました。
「海のないスイスに、世界有数の海運会社がある」という点から、イタリアでの課税を回避する目的かと疑われることもあります。しかし、MSCが拠点とするジュネーブ州の州税は比較的高めであることから、グレンコアのような低税州を狙った動きとは異なるようです。
矢内一好
国際課税研究所首席研究員
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