米国には出国税もある…納税拒否した場合、再入国は厳しい
(1)米国所得税の課税(旧法)
米国市民の富裕層は、カリブ海にタックスヘイブンが多くあることを承知しています。市民のなかには、市民権を放棄してタックスヘイブンに移住する者もいます。そこで、米国では、国籍の離脱についても税法上の手当を行っていました(内国歳入法典第877条)。
(2)米国所得税の課税(改正法)
米国では、2008年に改正法が成立しました。この改正法は、内国歳入法典第877条を改正して、第877A条を創設したものです。この離国をする離国者(expatriate)には、米国市民権を放棄する者および米国の永住権であるグリーンカードなどの権利を放棄する米国長期居住者が該当します。
課税方法は、出国時にすべての財産をその日に売却したものとみなして時価評価します。そして、課税所得の計算上、物価調整後で60万ドルの控除があります。また、長期居住者の場合、居住者になった時点で所有していた財産については、居住者になった時点における時価で評価します。
(3)米国出国税の特徴
改正法の適用対象者は上記の離国者などですが、これらの者はかつて米国市民権および永住権を有していたことを要件として、他国の国籍となり米国国外に居住している場合であっても米国において10年間の無制限納税義務を課されるのです。
たとえば、出国税の納税義務のある者が納税をせずに国外に移住し、後日、納税義務があることが判明した場合、米国において納税義務を果たさない限り、再度入国することは難しいのではないかと思われます。
矢内一好
国際課税研究所首席研究員
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