前回はプライベートカンパニーとなる株式会社の「発起設立」の手順について説明しました。今回は、株式会社の定款に記載しなければいけない項目と、合同会社の設立手順について見ていきます。

株式会社の定款に記載すべき事項とは?

株式会社の定款に記載すべき事項は、会社法により細かく定められています。定款に記載漏れがあった場合、会社の活動に大きな支障がもたらされるおそれもあるので、それらの内容をしっかりと理解しておくことが大事になります。

 

定款の記載事項としては、①絶対的記載事項、②相対的記載事項、③任意的記載事項の3種類があります。それぞれのポイントと具体的な中身は以下の通りです。

 

①絶対的記載事項

記載を欠けば定款が無効になってしまう事項です。

(例)

●会社の目的

●商号

●本店の所在地

●設立に際して出資される財産の価額またはその最低額

●発起人の氏名または名称および住所

●発行可能株式総数

 など

 

②相対的記載事項

記載を欠いても定款自体は無効とはなりませんが、記載しないと効力が発生しない事項です。例えば、現物出資は金銭以外の財産で出資することですが、定款に記載しておかなければ行うことができません。

(例)

●現物出資

●財産引き受け

●発起人の報酬等

●設立費用

●会社の公告方法

●株券を発行する旨の定め

●株主総会、取締役以外の機関の設置

●剰余金の配当等を取締役会が決定する旨の定め

●監査役の権限を会計監査に限定する旨の定め

 など

 

③任意的記載事項

仮に記載を欠いていても定款自体は無効とはならず、かつ、定款外で定めることも可能な事項です。

(例)

●取締役の人数

●株主総会の議長の決め方

●定時総会の招集時期

●決算期

 など

株式会社の資本金額は自由に決めることができる

かつては資本金の額は法定されており、例えば、新会社法の制定前には株式会社の設立時に1000万円を用意しなければなりませんでした。しかし、現在はそのような制約は全くありません。そのため、資本金が1円でも株式会社を設立することができます。

 

それでは、資本金はどの程度の額にしておけばよいのでしょうか。

 

まず、一般論として、資本金は多ければ多いほど対外的な信用が向上するといえるでしょう。もっとも、他方で資本金の額を高くしてしまうと、税制上はその額に応じて以下の①から③のような異なった取り扱いを受けることになります。

 

①法人住民税の均等割額が増える。

②資本金が1億円超の場合、それ以下の会社に比べて接待飲食費の控除額が少なくなる可能性がある。

③資本金が1000万円以上の場合、設立初年度より消費税の納税義務が生じる。

 

このような税制上の取り扱いも絡んでくることから、資本金の額をいくらにすべきかは一概に言えない部分があります。迷うようであれば、専門家に相談することをお勧めします。

合同会社の設立方法

定款に関して公証人の認証が不要になるなど若干の違いはありますが、合同会社の設立方法はおおむね株式会社と似通っています。

 

そこで、具体的な設立手続きの流れは前項を参照していただくとして、ここでは①定款の記載事項(絶対的記載事項)と②登記事項について確認しておきましょう。それぞれ下記の通りとなっています。

 

①定款の記載事項

(例)

●目的

●商号

●本店の所在地

●社員の氏名または名称および住所

●社員の全部を有限責任社員とする旨

●社員の出資目的(金銭等に限る)およびその価額または評価の標準

 

②登記事項

(例)

●目的

●商号

●本店および支店の所在場所

●存続期間または解散事由(定款に定めがある場合)

●資本金の額

●業務執行社員の氏名または名称

●代表社員の氏名または名称および住所

●代表社員が法人である場合は職務執行者の氏名および住所

●公告の方法

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