前回は、株式会社と合同会社を選択する際の判断基準について説明しました。今回は、プライベートカンパニーとなる株式会社の「発起設立」の手順について解説します。

プライベートカンパニーは「発起設立」が一般的

今回は、株式会社の設立方法について確認しましょう。

 

まず、株式会社の設立は、設立行為者である「発起人」が主導して行います。要するに、地主の人は発起人という肩書をもって会社を設立するわけです。

 

具体的な設立方法としては、「発起設立」と「募集設立」の2通りがあります。発起設立とは、設立に際して発行する株式を発起人がすべて引き受けるものです。つまり、発起人のみが出資を行うわけです。募集設立とは、設立に際して発行する株式のうち一部だけを発起人が引き受け、残りについてはほかから引受人を募集するものです。

発起設立はどのような手順で行うのか

プライベートカンパニーの場合、通常は、発起設立の形で行うことになるはずです。そこで、以下では発起設立の流れを示しておきましょう。

 

〈手順1〉商号・目的・本店所在地など会社の基本事項を決める

ほかには、設立に際して出資される財産の価額またはその最低額、資本金の額、発行可能株式総数、現物出資の有無、会社の公告方法などを決定します。


〈手順2〉代表者印の作成等を行う

会社の実印(代表者印)を最初に作成します。登記所に提出する印鑑の規格は決められているので(1センチ角以上3センチ角以内)、そのサイズに合わせましょう。ほかに、銀行取引に用いる銀行印や会社の認印(角印)、会社名や住所、代表者の名前を入れたゴム印なども用意しておきましょう。


〈手順3〉定款の作成

定款は、会社の組織、活動を定める根本原則です。それを記載・記録した書面、電磁的記録そのものも定款と呼びます。定款に記載すべき事項については、後ほど詳しく取り上げます。

 

〈手順4〉定款の認証を受ける

認証は公証人役場で公証人によって行われます。

 

〈手順5〉金融機関に対して資本金を払い込む

払い込んだ証明として、発起設立の場合は金融機関から「残高証明」を発行してもらいます。


〈手順6〉設立登記を申請する

登記すべき主な事項は以下の通りです。なお、申請手続きはオンラインで行うことも可能です。

●目的、商号、本店および支店の所在場所

●資本金の額

●発行可能株式総数

●発行する株式の内容

●発行済み株式の総数ならびにその種類および種類ごとの数

●取締役の氏名

●代表取締役の氏名および住所

 など

また、申請書のほかに以下のような添付書類が必要となります。

●定款

●発起人の同意書

●設立時代表取締役を選定したことを証する書面

●設立時取締役、設立時代表取締役および設立時監査役の就任承諾書

●払い込みを証する書面

      など

 

〈手順7〉登記の完了

登記が完了したときに、法的には会社が設立されたこととなります。


〈手順8〉諸官庁への届け出、許認可申請を行う

諸官庁に対して、各種の届け出や許認可申請を行います。

本連載は、2014年11月27日刊行の書籍『地主の相続財産は法人化で残す』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

地主の相続財産は法人化で残す

地主の相続財産は法人化で残す

小澤 豊,川本 泰正

幻冬舎メディアコンサルティング

相続税をできるだけ節税したい、遺産分割で家族がもめてほしくない──。地主にとって相続は、頭の痛い問題です。 多くの地主の相続財産は、現金ではなく土地が大半のため、いざ相続になったときに預貯金だけでは相続税を支払…

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