富裕層にも、富裕層を目指す人にも読んでほしい
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高額当選の落とし穴、浪費と孤独が招いた悲劇
「せっかく当たったんだから、少しぐらい贅沢してもいいだろう」
当選から半年が過ぎたころ、そのような思いが沸々と湧き上がってきた田中さん。いつか乗れたらなあ、と夢見ていた高級国産車を購入。妻には「退職金で買った」と嘘をつき、訝しがる妻を日帰り温泉旅行へ誘いました。
実は、この旅行でいよいよ妻に打ち明けようと思っていたのです。しかし、「妻が親戚や友人などに話してしまったら」と疑心暗鬼になってしまい、結局話すことができませんでした。秘密を抱えながらの生活は、むしろ空虚さを募らせるばかりでした。
「本当は妻と一緒に楽しみたかったのに」
後悔の念が日に日に強くなります。
また、お金の管理を一人で行うプレッシャーは想像以上に重いものでした。田中さんは投資の知識がほとんどありませんでしたが、「銀行に置いておくだけでは資産が目減りする」というネット記事を読んだことで焦り、株や不動産に手を出すようになります。
最初は株式投資から始めました。証券会社の営業マンから「安定した成長が期待できる」と勧められた銘柄に1,000万円を投資。その後、「AI関連銘柄は今後伸びる」と、いわれるがままに追加で500万円を投入しましたが、世界的な経済情勢の悪化などの影響で株価は下落。損切りした時点で、合計800万円ほどの損失となりました。
さらに、不動産投資セミナーに参加。「需要が安定している」という触れ込みで、地方の中古アパート物件に1,500万円を投資しましたが、入居者が思うように集まらず、半数以上が空室の状態に。物件の価値も当初の査定よりも下落し、売却するにも大幅な損失が避けられない状況となり、維持費だけがかさんでいきました。
そして最後の痛手となったのが、比較的安全と思われた外国債券に残りの資金から1,000万円を投入したことです。仕組みをよく理解していなかったため、実際には円ベースで元本割れ。500万円ほどの損失が出てしまいました。
気づけば退職から5年が経過し、総額で3,500万円ほどが目減り。さらに、高級車の維持費や、妻に内緒で楽しんでいた趣味の費用などで、少しずつ資産は減っていきました。田中さんは冷や汗をかきながら残高を確認し、現実を直視せざるを得なくなりました。そしてようやく「このままではいけない」と危機感が募ります。
一方、前々から田中さんの変化を察していた妻は、彼に不信感を抱くようになりました。
「最近、夜も起きてパソコンに向かっているけど?」
「なにか隠してるでしょ?」
ある日、隠し続けていた宝くじ当選の事実と、その後の資産の大部分を減らしてしまったことが妻にバレてしまいました。妻は激怒し、「どうして相談しなかったの? 一緒に考えればよかったのに」と詰め寄ってきたものの、なにも言い返すことができず、結果、夫婦仲はぎくしゃくした状態になってしまいました。
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