(※写真はイメージです/PIXTA)

親の介護やサポートは、多くの人が直面する課題のひとつです。しかし、どこまで関わるべきか、金銭的な負担をどうするかは、それぞれの家庭によって異なります。最初は助け合いのつもりでも、気づけば負担が偏り、親子関係に摩擦が生じることも少なくありません。今回は、親を支えたいという気持ちが思わぬ軋轢を生んでしまった歩美さんのケースをもとに、無理のないサポートの仕方やお金の負担のバランスについて、CFPなどの資格を持つトータルマネーコンサルタントの新井智美さんが適切な距離の取り方と具体的な対策について解説します。

タクシー代のレシートを保管、家族信託も…FPからのアドバイス

歩美さんは悩んだ挙げ句、FP(ファイナンシャル・プランナー)に相談することにしました。そして、歩美さんの家計に今後、少しでもゆとりを持たせるため、原則として歩美さんは仕事を優先し、緊急時以外は距離を置くという今の姿勢を貫くことにしたのです。

 

また、タクシー代もまずは1万円を渡し、足りなくなったら今後の予定も聞きながら必要なお金を渡すようにしました。タクシーに乗った際のレシートを保管してもらうことも忘れないようにすることで、今後どのくらい必要かが把握できるようになります。

 

今の状態では、両親は歩美さんに頼んだら何とかしてくれると思っています。そのため、その依存をまず解くことが大切です。

 

また、将来、両親のどちらかが認知症を発症した際に、財産の管理がスムーズに行えるよう家族信託契約を結ぶことにしました。

 

その後、歩美さんは両親と話す時間を設け、万が一認知症などになった際に父や母の財産を管理する手続きをしたいと話したのです。そうしなければ認知症発症後の財産の管理が歩美さんではできなくなり、治療費などの支払いができません。この内容には両親ともに納得し、歩美さんを受託者とした家族信託契約を締結し、信託口口座の開設手続きも進めました。口座には認知症発症によるその後の介護などの費用に使えるようまとまった金額を入れています。

 

歩美さんはタクシー代としてお金を渡したのはちょっと行き過ぎだったかなと今になって後悔しています。両親も体力が弱ってくるにつれ、より楽な方法を選ぶでしょう。しかし、本当なら歩美さんがやらなければならないことが十分にできていないという罪悪感から、少しでもとお金を渡していたのです。

 

と同時に、両親から認められたいという気持ちもあって頑張りすぎていた自分に気付きました。親に依存されていると思っていた歩美さんですが、ある意味、歩美さん自身も両親に依存していたのかもしれません。「私も親離れできていなかったのかも……」と思った歩美さん。今後も様子を見るために仕事のないときは両親の元に顔を出そうと思っていますが、適度な距離を保ちながら、両親には自分でできることはやってもらうつもりです。

 

新井智美

トータルマネーコンサルタント

CFP

 

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