今週の注目点…米景気に減速の兆しも
ただそういったなかで、短期売買を行う投機筋の米ドル売り・円買いに「行きすぎ」懸念も出てきた可能性があります。CFTC(米商品先物取引委員会統計)の投機筋の円買い越し(米ドル売り越し)は2月18日時点で6万枚でした。低金利の円は、経験的に買い越しが5万枚以上に拡大すると「行きすぎ」懸念が強まります(図表6参照)。
ちなみに、2024年9月末にかけて、円の買い越しは6万枚を超えたところで拡大が一巡しましたが、直後に一日で142円から146円まで約4円も円急反落が起こる場面もありました。依然として円が相対的な低金利であることには変わりないため「買われすぎ」の反動で急反落するリスクも抱えていることは意識する必要があるのではないでしょうか。
ところで米ドルのポジションは先週にかけて買い越しが急ピッチで縮小しました。主要5通貨(円、ユーロ、英ポンド、スイスフラン、加ドル)で試算した投機筋の米ドル買い越しは、1月14日時点の33万枚から、2月18日には19万枚まで減少しました。トランプ政権が正式にスタートして1ヵ月が過ぎるなかで、米ドル買い越しは4割以上も縮小したわけです(図表7参照)。
米ドル買い越しは経験的に30万枚以上が「行き過ぎ」圏です。トランプ政権が正式にスタートするまでに米ドルが「買われすぎ」となり、政権の正式なスタートとともに「買われすぎ」の修正が広がったということではないでしょうか。こういった動きを見ると、米ドル買いに伴う米ドル反発にも基本的には限りがあるのではないでしょうか。
ここに来て米景気に減速の兆しも出てきたことで米金利上昇も限られ、むしろ低下が広がる可能性もあるでしょう。そうなると、すでに見てきた日本の金利上昇と合わせ、金利差で米ドル優位・円劣位縮小には一段と注目が集まることになりそうです。以上を踏まえた上で、今週の米ドル/円は147~151円で予想したいと思います。
吉田 恒
マネックス証券
チーフ・FXコンサルタント兼マネックス・ユニバーシティFX学長
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