「自分に合った仕事がわからない」…転職したくてもしない人が増加。一方、非正規雇用者に「景気」や「社内方針転換」のしわ寄せが【経済学者が解説】

「自分に合った仕事がわからない」…転職したくてもしない人が増加。一方、非正規雇用者に「景気」や「社内方針転換」のしわ寄せが【経済学者が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

日本経済の有識者である大守隆氏・増島稔氏の手によって、両氏を含む12名の専門家たちの論考が編集された『日本経済読本(第23版)』(東洋経済新報社)では「経済を理解するには、歴史、制度、事実、理論の各面を組み合わせて理解することがとても重要である。(引用元:同書はしがきより、執筆者 : 大守隆(元内閣府政策参与)」と指摘されています。本記事では本書から一部抜粋・再編集し、現在の労働市場が抱える問題について歴史、制度、事実、理論の各面から解説します。

非正規雇用を取り巻く問題

13年の改正労働契約法、15年の改正労働者派遣法の施行により、非正規雇用として働く人に対して正規雇用への転換を含む雇用の安定を図る措置が講じられ、キャリアアップ助成金の拡充も行われているが、非正規雇用から正規雇用に移った人の割合は過去10年間で横ばい傾向にある。他方、昨今の人手不足を背景に、企業が非正規雇用を活用する理由にも変化がみられている。

 

厚生労働省「雇用の構造に関する実態調査」によれば、「正社員を確保できないため」とする事業所の割合が、2010年の18%から19年には38%まで上昇している。これに対し、「賃金の節約のため」を挙げたのは2003年の52%から19年の31%まで低下している。企業が経営環境の変化や新しい技術に柔軟に対応し、労働市場の中でより生産性の高い分野への労働移動が実現していくためには、正社員の解雇時のルールの見直し(解雇無効時の金銭救済制度の検討を含む)も課題の一つと考えられる。

求められるマッチング機能の強化

労働者の意識も日本型の長期雇用関係から変化の兆しもうかがえるが、転職行動には結びついていない。

 

25~64歳の正規雇用者のうち、転職希望がある人の割合を2015年と23年で比較すると年齢層を問わず小幅に高まっているが、実際に転職活動をしている人の割合は逆に低下し、雇用の流動化の進捗は緩やかである(図表)。

 

[図表]正規雇用者の転職希望

 

また、転職活動者が転職していない理由として最も多かったのは「自分に合った仕事がわからない」(14%)、次いで「思ったより手間がかかって進んでいない」(11%)であり、転職活動者や希望者に対して、求人や求職に関する官民の情報共有などを通じ労働市場のマッチング機能を強化し、一層の活躍の機会を提供する仕組み作りが求められている。

 

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※本連載は、大守隆氏、増島稔氏の編書『日本経済読本(第23版)』(東洋経済新報社)より一部を抜粋・再編集したものです。

日本経済読本(第23版)

日本経済読本(第23版)

大守 隆・増島 稔(編)

東洋経済新報社

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