「組織文化づくり」は新卒採用の最初が肝心
私たちは、毎年一定数の新卒社員を採り続けています。勤続年数がいちばん長い従業員は20年を超えるプロパー社員です。
彼らが店舗に残って私の目指しているお菓子づくりや会社としての志、大切にしている価値観などを次の世代に伝え、価値を共有してくれることで私たち独自の組織文化づくりができてきたと考えています。
とりあえず即戦力がほしいからと中途採用に依存していたら今の私たちはなかったですし、一人ひとりの志や価値観で作られる組織文化も築けなかったと思います。
以前にあったことですが、影響力の強い中途採用社員が1人入社するだけで、その場にいる6人ほどの若いパティシエがみんなその中途採用社員の言うことを聞くようになってしまいました。
店舗の雰囲気も180度変わります。やや偏った見方ですが中途採用の方は仕事の進め方や背景にある価値観、それに基づいたさまざまな制度が理解できずに自分のやり方を押し通すことが多いです。
結果としてさまざまな価値観やそれに伴うお菓子の作り方などで、私たちの商品の味や品質が非常に不安定で荒れたものになってしまいました。
これは私たち自身が未熟ということや、中途採用の方の問題にすり替えてしまうのが楽なのですが、そうではなく、組織文化が育まれていなかったからです。
ここ数年は組織文化が以前よりは定着し、同時に中途採用社員も定着し、大きな戦力になりつつあります。大事なのは、パティシエとしての技術以上にその人の人間性や仕事に対する姿勢です。
例えばコンテスト優勝などもその人の経験だけでその人が本当に優秀なわけではありません。もちろん、技術面では飛び抜けた才能があるかもしれませんが、それだけではプロフェッショナルとは呼べませんし会社や店舗をまとめていくことはできません。