離職率の高いパティシエ業界。パティシエの人材育成こそが、ケーキ店経営の要です。本記事では、前田省三氏の著書『繁盛店のケーキ店から学ぶ 消費期限1日の経営学』(幻冬舎)より一部抜粋・再編集し、詳しく解説します。

「組織文化づくり」は新卒採用の最初が肝心

私たちは、毎年一定数の新卒社員を採り続けています。勤続年数がいちばん長い従業員は20年を超えるプロパー社員です。

 

彼らが店舗に残って私の目指しているお菓子づくりや会社としての志、大切にしている価値観などを次の世代に伝え、価値を共有してくれることで私たち独自の組織文化づくりができてきたと考えています。

 

とりあえず即戦力がほしいからと中途採用に依存していたら今の私たちはなかったですし、一人ひとりの志や価値観で作られる組織文化も築けなかったと思います。

 

以前にあったことですが、影響力の強い中途採用社員が1人入社するだけで、その場にいる6人ほどの若いパティシエがみんなその中途採用社員の言うことを聞くようになってしまいました。

 

店舗の雰囲気も180度変わります。やや偏った見方ですが中途採用の方は仕事の進め方や背景にある価値観、それに基づいたさまざまな制度が理解できずに自分のやり方を押し通すことが多いです。

 

結果としてさまざまな価値観やそれに伴うお菓子の作り方などで、私たちの商品の味や品質が非常に不安定で荒れたものになってしまいました。

 

これは私たち自身が未熟ということや、中途採用の方の問題にすり替えてしまうのが楽なのですが、そうではなく、組織文化が育まれていなかったからです。

 

ここ数年は組織文化が以前よりは定着し、同時に中途採用社員も定着し、大きな戦力になりつつあります。大事なのは、パティシエとしての技術以上にその人の人間性や仕事に対する姿勢です。

 

例えばコンテスト優勝などもその人の経験だけでその人が本当に優秀なわけではありません。もちろん、技術面では飛び抜けた才能があるかもしれませんが、それだけではプロフェッショナルとは呼べませんし会社や店舗をまとめていくことはできません。

次ページ「共に成長する」組織作り

※本連載は、前田省三氏の著書『繁盛店のケーキ店から学ぶ 消費期限1日の経営学』(幻冬舎)より一部を抜粋・再編集したものです。

繁盛店のケーキ店から学ぶ 消費期限1日の経営学

繁盛店のケーキ店から学ぶ 消費期限1日の経営学

前田 省三

幻冬舎

数値化×見える化で着実に利益を出し続ける! 廃棄ロス、低利益率、人材不足…… 難しいかじ取りを迫られるケーキ店を安定成長に導いた経営手法とは? 飲食店や食料品店は利益率が低く、安定的な経営を行うのが難しい業…

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録