今週の注目点…「米インフレ再燃」か「景気減速」か
すでにみてきたように、米1月CPIが予想より強い結果となったことなどからインフレ再燃の懸念がある一方で、米1月小売売上高は逆に予想を大きく下回り景気減速の兆しもあるといった具合に、金利の方向性が定めにくくなっています。
ちなみに、アトランタ連銀の経済予測モデルであるGDPナウは、小売り売上高の発表のあと、第1四半期の米GDP伸び率予想を、それまでの2.9%から2.3%へ下方修正しました。
では、米金利はこれから上昇に向かうのか、低下に向かうのでしょうか。
ただし、すでにこれまで、トランプ大統領の経済政策のリスクを織り込む形で、米金利は大きく上昇しました。そのうえでさらに米金利上昇が広がるかどうか、個人的には懐疑的にみています。
むしろ、トランプ大統領の経済政策を織り込む取引の一部には、ここに来て修正が広がっている痕跡もあります。CFTC統計の投機筋の米ドル・ポジション(円、ユーロ、英ポンド、スイスフラン、加ドルの5通貨で試算)は、買い越しがトランプ大統領の就任式前には33万枚まで拡大しましたが、先週にかけて22万枚まで縮小しました(図表5参照)。
トランプ大統領の経済政策は米金利が上昇するとの見方が大半でしたが、「トランプ・トレード」の見直しが広がってきたわけです。
米経済にはインフレ再燃のリスクがあるものの、こうした状況を踏まえると、「米金利上昇=米ドル高」にはおのずと限りがあるのではないでしょうか。
以上を踏まえると、なお米金利の方向感が定めにくいなかで上下に振れやすい状況が続きそうです。基本的には「米金利上昇=米ドル高」の限界を確認しながら、徐々に米ドル安・円高へ向かう可能性が高いとの考えから、今週の米ドル/円は「149.5~153.5円」と予想します。
吉田 恒
マネックス証券
チーフ・FXコンサルタント兼マネックス・ユニバーシティFX学長
※本連載に記載された情報に関しては万全を期していますが、内容を保証するものではありません。また、本連載の内容は筆者の個人的な見解を示したものであり、筆者が所属する機関、組織、グループ等の意見を反映したものではありません。本連載の情報を利用した結果による損害、損失についても、筆者ならびに本連載制作関係者は一切の責任を負いません。投資の判断はご自身の責任でお願いいたします。
注目のセミナー情報
【海外不動産】12月18日(木)開催
【モンゴル不動産セミナー】
坪単価70万円は東南アジアの半額!!
世界屈指レアアース産出国の都心で600万円台から購入可能な新築マンション
【事業投資】12月20日(土)開催
東京・門前仲町、誰もが知る「超大手ホテルグループ」1階に出店!
飲食店の「プチオーナー」になる…初心者も参加可能な、飲食店経営ビジネスの新しいカタチとは?
【関連記事】
■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
■親が「総額3,000万円」を子・孫の口座にこっそり貯金…家族も知らないのに「税務署」には“バレる”ワケ【税理士が解説】
「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】

