「インフレ再燃」か「景気減速」か…不安定な展開が続く米ドル/円、今週の予想レンジは〈149.5円~153.5円〉【国際金融アナリストが解説】

2月18日~2月24日の「FX投資戦略」ポイント

「インフレ再燃」か「景気減速」か…不安定な展開が続く米ドル/円、今週の予想レンジは〈149.5円~153.5円〉【国際金融アナリストが解説】
(※画像はイメージです/PIXTA)

先週は152円~155円と、上下に大きく振れる展開となった米ドル/円。この背景には、「2つの相反する理由」により、米金利の方向性が定めにくくなっていることが考えられると、マネックス証券・チーフFXコンサルタントの吉田恒氏はいいます。その根拠と今週の予想レンジについて、本記事で詳しくみていきましょう。

今週の注目点…「米インフレ再燃」か「景気減速」か

すでにみてきたように、米1月CPIが予想より強い結果となったことなどからインフレ再燃の懸念がある一方で、米1月小売売上高は逆に予想を大きく下回り景気減速の兆しもあるといった具合に、金利の方向性が定めにくくなっています。

 

ちなみに、アトランタ連銀の経済予測モデルであるGDPナウは、小売り売上高の発表のあと、第1四半期の米GDP伸び率予想を、それまでの2.9%から2.3%へ下方修正しました。

 

では、米金利はこれから上昇に向かうのか、低下に向かうのでしょうか。

 

ただし、すでにこれまで、トランプ大統領の経済政策のリスクを織り込む形で、米金利は大きく上昇しました。そのうえでさらに米金利上昇が広がるかどうか、個人的には懐疑的にみています。

 

むしろ、トランプ大統領の経済政策を織り込む取引の一部には、ここに来て修正が広がっている痕跡もあります。CFTC統計の投機筋の米ドル・ポジション(円、ユーロ、英ポンド、スイスフラン、加ドルの5通貨で試算)は、買い越しがトランプ大統領の就任式前には33万枚まで拡大しましたが、先週にかけて22万枚まで縮小しました(図表5参照)。

 

出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成
[図表5]CFTC統計の投機筋の米ドル・ポジション(2022年1月~) 出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成

 

トランプ大統領の経済政策は米金利が上昇するとの見方が大半でしたが、「トランプ・トレード」の見直しが広がってきたわけです。

 

米経済にはインフレ再燃のリスクがあるものの、こうした状況を踏まえると、「米金利上昇=米ドル高」にはおのずと限りがあるのではないでしょうか。

 

以上を踏まえると、なお米金利の方向感が定めにくいなかで上下に振れやすい状況が続きそうです。基本的には「米金利上昇=米ドル高」の限界を確認しながら、徐々に米ドル安・円高へ向かう可能性が高いとの考えから、今週の米ドル/円は「149.5~153.5円」と予想します。

 

 

吉田 恒

マネックス証券

チーフ・FXコンサルタント兼マネックス・ユニバーシティFX学長

 

※本連載に記載された情報に関しては万全を期していますが、内容を保証するものではありません。また、本連載の内容は筆者の個人的な見解を示したものであり、筆者が所属する機関、組織、グループ等の意見を反映したものではありません。本連載の情報を利用した結果による損害、損失についても、筆者ならびに本連載制作関係者は一切の責任を負いません。投資の判断はご自身の責任でお願いいたします。

 

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