介護はきれいごとではありません。適切なサポート体制がなければ、本人と家族の健康を損なう可能性があります。一方で、訪問介護などの地域資源を活用できるならば、在宅介護もまた選択肢の一つです。本記事では、居宅介護支援や訪問看護を提供する(株)一期一会の代表で看護師の安田由加理氏の著書『過疎地域の福祉革命』(幻冬舎メディアコンサルティング)から一部を抜粋・再編集し、詳しく解説します。
在宅医療の現場を知っていることの大切さ
また、実際に在宅の場を知っている医療者とそうでない医療者では在宅療養に関する認識にズレがあることもあります。設備が整った病院の中で行われる医療しか知らない場合、近くに医療者もおらず設備も整っていない患者宅に退院させることをリスクと考えることがあると思います。
しかし、実際に在宅医療や在宅介護の現場を知ると、訪問看護や訪問介護、通所サービス、在宅でのリハビリなど地域のさまざまな資源を活用すれば、必ずしも在宅での療養が不可能ではないことも分かってくるのです。
私をはじめとして一緒に地域を支えている仲間たちは、看護師もセラピストも皆、病院も経験したうえで地域に出てきているので、病院と在宅療養のどちらも理解しています。どちらも知る立場から患者と家族を看ることで、より安心して在宅療養ができるのだと思っています。
例えばなじみのあるご近所さんだったり大切にしていた猫や犬などのペットだったり、心を込めて育てていた自慢の畑だったりと人によってさまざまです。大切な人に囲まれると本当に穏やかな顔になりますし、友人や知人の前でしっかりしたいと思うのか、表情が途端にシャキッとすることもあります。あるいは、自宅に帰るとそれまでの役割を取り戻して表情や態度が変わることもあります。
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株式会社一期一会
看護師
高校卒業後に、早く自立して生活したいという思いが強いことから、看護師である実母の影響もあり看護専門学校へ入学。1992年4月に正看護師の資格を取得し、京都府済生会病院、姫路赤十字病院にて外科、脳外科、心臓血管外科で勤務。その後、子育てのために一時仕事を離れる。2002年5月より石橋内科・広畑センチュリー病院にて通所リハビリテーション、通所介護に勤務。そこで初めて介護保険サービスに関わり、医療現場と在宅医療の根本的な考えの違いを知り、在宅介護の面白さに気づく。地域での認知症啓発事業にさらに携わりたいと思い、2017年1月より兵庫県たつの市役所の地域包括支援課に勤務、2019年12月3日、株式会社一期一会を設立し現在に至る。
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連載超高齢社会の過疎地域で「誰も取り残さない」ケア