営業マンが「紹介したくなる」物件とは?
前回の続きです。同時に自分で不動産会社に行き入居者募集の広告を自分で作成して、目で訴えながら顔と名前を覚えてもらいました。このオーナーの顔と名前とアパートの内容を早く営業マンに覚えてもらうには1回の訪問では足りません。1カ月に2回は業者の店頭に行き、今の募集状況を軽くヒアリングしながら私のアパートを宣伝します。これこれが完備しているので他のアパートと差別化できるという点をアピールするのです。そうすればやっと顔と名前とアパートのアピールできる点の3点を覚えてもらえます。
そして一度でも営業マンが客付けに成功すると営業マンにもこのマンションは紹介すれば約定できるマンションでお客様にも受けがいいとわかり、自信が付きます。ここまでくれば自動的に紹介してくれるようになります。いちいち不動産業者を訪問しなくてもいい段階になります。
空き室がない満室状態であることがわかっていても私の携帯電話には「空き室はありませんか?」と業者から問い合わせの電話がかかってきます。この時に私はいつも必ず「ありがとうございます」と問い合わせてくれた行為に対してお礼を言います。
その理由は私のアパートを真っ先に勧めたいという意思があると思われるからです。
不動産業者の営業マンが店頭に来られたお客様にどういう部屋をどういう順番でご紹介するのか想像したことがありますか? いつも管理会社等に不平不満しか言わない大家の物件を一番に紹介するのを想像できますか? ろくに修繕もしていない部屋を現地案内してなかなか決まらない経験をしているアパートを、真っ先に紹介することはないと容易に想像できます。
むしろいつも丁寧な言葉で接し、不平不満を一切言わない大家の物件、設備投資しているがゆえに紹介すると決まる確率が高い物件を最優先して紹介すると思いませんか? これが営業マンが一度客付けに成功すると成功体験ができ、後は自動的に募集活動してくれる理由なのです。
汚いまま放置プレーしているアパートを紹介しても経験則から決まる確率が限りなく低いと一度でも営業マンが思ってしまったらもう終わりです。チーンと音がなっていると考えてもらってもいいくらいに非常に大事なことです。これは正に不動産募集の生命線といえます。
今の時代、不動産業者は「入居者と同等」以上のお客様
言いかえれば大家の生命線です。したがって不動産業者の営業マンに嫌われることは絶対に避けてください。我々大家業が成り立つのは営業マンが入居者を紹介してくれるからです。誰も紹介してくれなかったら大家業の商売が成り立たず廃業に追い込まれてしまいます。そういう意味で不動産業者の営業マンは我々大家にとっては神様といえます。大切にしてください。私はなぜこのことを繰り返し書くかといえばある悲惨な現実を見てきたからです。
インターネット上であるアパートが売り出されていました。それは日光江戸村から歩ける距離にありました。部屋は12室あり利回りも20%を超えていました。比較的外観もきれいでした。このアパートを買った場合を想定して家賃の相場を聞こうと地元で一番大きい不動産業者に行きました。そうするとその不動産業者は以前このアパートの大家と言い争いになり、それからは一切募集活動していないと聞きました。
大家の方は未亡人で夫が生前に建て、夫の死後未亡人が引き継いだのです。しかし不動産業者に文句ばかり言ったり暴言を吐いたりしたため地元の不動産業者は誰も相手にしなくなり、その結果空き室が埋まらずにとうとう経営を諦めて売りに出したとのことした。
私は結局このアパートを購入しませんでした。今の時代、上から目線で不動産業者と接するのはご法度なのです。不動産業者は入居者と同等またはある意味同等以上に大切なお客様と思って対応してください。
それに加えて私は客付けしてくれた営業マンにインセンティブを与えます。商品券で1万円か2万円を営業マンに直接手渡しします。これも与えるのと与えないのとでは当然紹介する優先順位も違ってくると思っているからです。