幸子さんが主張した特別寄与料とは
幸子さんは3年間ずっと献身的に介護をしていました。本来なら、実子である隆さんや隆さんの妹が行うことをずっと行ってきたのです。
幸子さんは啓子さんの相続人ではありませんが、息子の配偶者という関係でもあり、特別寄与料の請求が認められるのです。特別寄与料とは2019年7月から施行された制度です。そして幸子さんは250万円の金額を隆さんに請求しました。
250万円の金額の根拠は、啓子さんの介護について介護保険を利用した際にかかっただろうと思われる額です。介護用ベッドのレンタル代なども含むと妥当な金額でしょう。
しかし隆さんは「嫁という立場上当たり前のこと。そんなお金を払うつもりはない。」と幸子さんの要求を認めませんでした。
特別寄与料の請求には家庭裁判所への申し立てが必要
幸子さんは、隆さんが納得してくれないこともあり、家庭裁判所に申し立てを行いました。その際には、申し立てができる期限内に行うことも忘れていません。
特別寄与料の申し立てには期限があり、「相続が開始された日から1年以内」、もしくは「幸子さんが相続が開始されたことそして相続人を知った日から6ヵ月以内」です。
最終的には家庭裁判所の決定により、幸子さんは200万円の特別寄与分を隆さんから受け取りました。
幸子さんは本当はお金が欲しかったわけではなく、感謝の言葉を隆さんや隆さんの妹からもらいたかったのです。しかし、一切介護を手伝わない2人の言動に我慢できませんでした。そして、特別寄与料の請求という行動に出たのです。
幸子さんには今後、自分の親の介護も待っています。幸子さんは妹と2人姉妹で、「お父さんやお母さんの介護についてはお互い助け合いながら行っていこうね」と今から話しているところです。
新井智美
トータルマネーコンサルタント
CFP
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