第2の国際通貨としての地位を維持するユーロ
ユーロは、25年1月時点で20もの主権国家が導入する通貨であり、その実験的な性格から、少なからぬ専門家がユーロの単一通貨圏としての持続可能性に疑問を呈してきた。
99年のユーロ導入時の第1陣となった11ヵ国の間でも経済規模や所得水準、経済・産業、国際収支構造には大きなばらつきがあった。財政主権が各国に分散しながら、通貨と金融政策を一本化するにあたり、EUは、GDPの3%を超える過剰な財政赤字の是正などのルールを規定した「成長安定協定(SGP)」に基づいて相互に監視する体制を確立した。
ユーロを支える制度は、2008年の世界金融危機に続いてギリシャを発の債務危機に対応する過程でバージョンアップされた。
主な変更点は、(1)財政ルールの厳格化*、(2)自力での資金繰りが困難になった国の支援などを行う安全柵「欧州安定メカニズム(ESM)」の常設化、(3)ユーロ圏の銀行監督と破綻処理の一元化による「銀行同盟」への移行である。
*債務危機を教訓とする財政ルールの変更点と問題点、コロナ禍での財政ルールの運用等については、伊藤さゆり「財政同盟の課題と復興基金の意義」須網隆夫編『EUと新しい国際秩序』日本評論社をご参照下さい。
2010年代の債務危機の克服に重要な役割を果たしたのはドラギ総裁(当時)率いるECBと評価されることが多いが、(1)~(3)のようなユーロ制度の構造的な欠陥を是正するために必要な合意をまとめる政治的な意思はユーロを守る上で不可欠だった。
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