信頼は「時間投資効率」抜群
長期的な視点での信頼は、時間効率を重視する「タイパ」=タイムパフォーマンスがあらゆる場面で重視されています。やや行きすぎを感じるときもありますが、ビジネスではやはり気にすべき感覚です。では、人から信頼を得ようとするときは、みなどれだけタイパにこだわっているでしょうか。
米国などのビジネスエリートは、効率や生産性にシビアな感覚を持っており、自分の印象アップやイメージ形成のためには費用や時間を投資します。このような努力をするのは、印象、とくに最初に与える適切な印象が、その後のビジネスでのタイパに大きく影響することを理解しているためです。
適切な印象とは、十分な好感度、実力やキャリアがある雰囲気など、他人が信頼を感じそうな印象です。最初に「信頼できそうな人」と相手に思わせることは投資効率が高いと見越しているのです。
「初頭効果」は聞いたことがあるでしょうか。心理学で言われる、何かについての第一印象が、その後の情報処理や判断に強い影響を与える現象を指します。心理学者アッシュの研究では、後からの情報が最初の情報と同等以上に強力でなければ最初の情報の効果をくつがえすのは難しいことを示しています。
また、通常は初頭効果に続いて「確証バイアス」という無意識の作用が生じることもわかっています。これは、最初の情報を起点に物事を評価し、最初と違う情報が入ってきてもそれを排除したりする作用で、初頭効果から生じた印象がそれによってさらに強化されます。
つまり、最初にあなたが相手に「信頼できそうな人」という印象を与えられれば、その高い評価がその後のあなたの評価の出発点になります。相手はあなたの言動を見ては無意識に「やっぱり信頼できる」と納得を繰り返し、よほどのことがなければ、その信頼は複利的に増えていくイメージです。
そして逆の印象であれば、よほどのことがなければ信頼を失い続ける図式になります。信頼でもタイパにこだわるのが賢明です。
第一印象で獲得した信頼は複利的に増えていく
