日本人と異なる「外国人投資家の特性」とは?
地価を下支えする要素としては、オリンピック以外にも外国人投資家による投資があげられます。近年は特に、ビザ要件が緩和された中国などアジア圏からの投資が活発化しており、首都圏を中心とする大都市圏では不動産取引において無視できない割合を占めるようになってきました。
外国人投資家の特性として注目されているのは、日本の投資家が手を出さない物件でも独自の基準で購入するということです。
日本人投資家の多くは天井に穴が開いている物件や雨漏りする物件を買いません。リフォームに要するコストや空室リスクを考えるとリスクが大きいと考えるためです。また、利回りについても5%を切るようなら購入をためらいます。
ところが外国人投資家は、老朽化していたり損傷が激しかったりする物件でも、自国の物件と比較して「まだ大丈夫」と判断できれば購入するのです。同じ価値観を持つ自国人を対象とした宿泊施設として利用したり、賃貸物件として貸し出したりするのであれば、リフォームも不要もしくは最低限で済みます。
利回りについて4%、あるいは3%でも十分と考えるのは、もともと自国の政治体制に不安を感じている人が多いためです。たとえ利益がほとんど出なくても、海外に資産を持っていることによりリスクヘッジできるという利点があれば十分なのです。
ただし、海外からの投資には相手国の事情による波があります。中国においては株式相場の大幅下落や上海における不動産価格の暴落などがあり、先行きに不透明感が出てきました。今後も海外から活発な投資が続くかはわからないと考えるのが賢明です。
景気動向により不動産の流動性も大きく変わってくる
バブル経済の盛り上がりと崩壊を例に考えるとわかりやすいのですが、土地本位制と言われる日本では、景気動向と地価は密接に結びついているため、高値売却を狙うなら、当然のことながら景気の良いときが狙い目となります。
景気の良し悪しはさらに、地価だけでなく「売却しやすさ」にも関連します。これまで解説してきた通り、高値売却を実現するためには解体撤去や造成などの加工が非常に有効です。廃業する事業者にとってはそのためのコストの捻出が難しいため、加工による売却価格の引き上げを金融機関に示して、解体や造成に要する費用の融資を求めることになります。
この融資審査の通りやすさが景気の動向によって異なるのです。景気の良いときは高めの売却価格を示しやすく、融資に対する金融機関の審査もゆるめになります。買主の姿勢も積極的なので、売買契約書や協定書など売却価格を証明する「証拠」を出しやすくなるという利点も生じます。
一方、景気が悪くなると売却価格はどうしても低めになるため、売却により融資を返済できるのか金融機関の側も慎重に審査することになります。買手も消極的になるので売買契約にいたる流れが滞りがちになり、審査に必要とされるエビデンスをそろえにくいという難題も発生します。また、景気が後退する局面では金融機関が融資を引き締める態勢に入るため、好景気のときであれば問題なく認可されていたはずの融資が通らないケースも少なくありません。
景気の動向は不動産市況という面以外でも、不動産の高値売却を目指す人にとって大きな問題となるので、注視する必要があります。