フィリピン「半導体産業」の最新動向
マルコス大統領は、半導体業界へのさらなるインセンティブの推進を示唆しました。マルコス大統領は、半導体がフィリピンの輸出の大きな部分を占めていることから、半導体産業の重要性を強調しました。
政府は、経済再活性化の機会を最大化するための企業再生および企業向け税制優遇措置(CREATE MORE)法の実施規則および規制(IRR)の見直しを勧告し、半導体産業への優遇措置に関する具体的な規定を盛り込むとしています。マルコス大統領は12月にCREATE MORE法案に署名し、法律として成立させました。大統領は、自動車製造業など他の産業にインセンティブを与えるCREATE MORE法には、半導体企業に対するインセンティブの規定はないとしています。
エレクトロニクスはフィリピン最大の輸出産業であり、フィリピンの商品輸出全体の約 60% を占めています。これらの輸出の大半は電子機器に組み込まれる半導体製品です。世界的な需要低迷により、11月の半導体輸出は前年比33.1%減の19億1,000万ドルとなりました。
半導体立地企業へのインセンティブ推進は、経済成長、技術進歩、雇用創出に極めて重要かつ、世界の半導体バリューチェーンにおけるフィリピンの地位強化という目標と一致しているとされ、フィリピンを半導体の生産や組み立ての拠点として位置づけることは、長期的な経済的利益をもたらす可能性が高いとされています。
ベトナム、マレーシア、タイなどの近隣諸国が半導体企業に対して競争力のあるインセンティブパッケージを提供しており、フィリピンにも追随する圧力がかかっています。半導体プロジェクトは利益が出るまでに長期間かかることが多いため、長期的で柔軟なインセンティブ構造が必要との指摘もあります。
一方で、汚職、エネルギー価格の高騰、官僚主義など、他の問題が解決されないと、半導体産業拡大のインセンティブがワークしないとの指摘もあります。エネルギー価格の高騰がフィリピンの半導体産業にとって最大の脅威とされています。
マルコス大統領は、ドナルド・トランプ米大統領が1月20日に就任したあと、半導体の企業に対する優遇措置を示唆しました。また、バイデン大統領の下、米国とフィリピンは、米国のCHIPS法に基づき、半導体分野での提携を強化することに合意しました。貿易産業省は、CHIPS法に基づく米国の支援を受けて、フィリピンの半導体産業向けに12万8000人のエンジニアを育成することを目指しています。
フィリピン経済特区庁 (PEZA) の経済特区には、米国の主要顧客に重要なバックエンド サポートを提供する 482 社の電子機器製造サービスおよび半導体製造サービス (EMS-SMS) 企業が拠点を置いています。これらの企業の多くが、電子機器製造能力とサプライチェーンの回復力を強化するために、CHIPS法の国際技術安全保障・イノベーション基金から支援を受けています。
フィリピン半導体・電子産業財団は 12月、厳しい事業環境と需要の低迷により、半導体・電子製品の輸出は2025年には横ばいになる可能性が高いとしています。半導体産業はフィリピンの主力輸出産業ですが、部品の多くを輸入しているため、付加価値が低く、コストが非常に高い製品のままになっているという問題があります。
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