介護した自分がもらいたい
何度かやりとりをするうちに、妹は介護をした自分が預金を全部もらう権利があると言い出しました。姉は自宅をもらう予定になっているという主張で、預金ももらいたいと。それぞれの思惑が対立して話し合いがまとまりそうにないといいます。
相続税の申告が必要か否かは預金や名義預金の額によるため、早めに確認をしてしまいたいところです。妹から通帳の写しをもらえば済むことですが、それができないならば、英之さんが預金の取引履歴を入手することができるので、そうしたほうが良いとアドバイスしました。
話し合いが難しい
財産が確認できれば、次に分け方の話し合いが必要になりますが、現状では姉と妹が話し合いに応じないようです。これではいつまでも進みません。こうしたケースでは第三者に間に入ってもらうことが必要になります。
姉と妹が英之さんと円満に話し合いをしようということであれば、全員の意思を確認して合理的な分割案を提案することができるので私でも担当することが可能です。しかし、現状では全員の意思確認をすることが難しいと思えますので、英之さんが弁護士に依頼し、家庭裁判所の調停に持ち込むことが妥当だと判断しました。
事前に通知し、再確認した上で、自分達だけでは分割協議ができないとなれば、弁護士、家庭裁判所が依頼先になります。英之さんは、やはりそうした手段が必要ですねと、解決に向けて気持ちが固まったようです。
相続実務士のアドバイス
●できる対策
⇒預金は相続人の1人が申請すれば取引明細を入手できる。相続人間で話し合いがつかないときは弁護士、家庭裁判所が依頼先となり決断が必要。
●注意ポイント
⇒弁護士に依頼、家庭裁判所の調停をするときょうだいはコミュニケーションがとれなくなり、絶縁になりかねない。
曽根 惠子
株式会社夢相続代表取締役
公認不動産コンサルティングマスター
相続対策専門士
◆相続対策専門士とは?◆
公益財団法人 不動産流通推進センター(旧 不動産流通近代化センター、retpc.jp)認定資格。国土交通大臣の登録を受け、不動産コンサルティングを円滑に行うために必要な知識及び技能に関する試験に合格し、宅建取引士・不動産鑑定士・一級建築士の資格を有する者が「公認 不動産コンサルティングマスター」と認定され、そのなかから相続に関する専門コースを修了したものが「相続対策専門士」として認定されます。相続対策専門士は、顧客のニーズを把握し、ワンストップで解決に導くための提案を行います。なお、資格は1年ごとの更新制で、業務を通じて更新要件を満たす必要があります。
「相続対策専門士」は問題解決の窓口となり、弁護士、税理士の業務につなげていく役割であり、業法に抵触する職務を担当することはありません。
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