母親の財産は自分に
妹の病状からは母親の老後を託すことはできないため、秀子さんが責任を持つつもりでいます。また、妹には不動産の管理、運用も難しいと思われるため、それも秀子さんが引き受けるつもりです。
しかし、妹は最近になり、母親の財産はすべてもらいたいと言い出したのです。姉は仕事も家族もあり、なにも困ることはないから、それでいいだろうというのです。昔から姉ばかりいい思いをしてきたので、我慢してきた自分に権利があるという理屈のようです。妹は「お姉ちゃんばかりズルい!」「お姉ちゃんは上級国民なんだからいいじゃない!」とわめいて手が付けられない状態でしたが、母親が激怒。なんとかしないといけないと思われたようです。
理屈が通じないときは遺言書が必須
妹の状態を考えて、今からできることをしておきたいというのが秀子さんの相談内容でした。話を聞く限りでは、冷静な話し合いができるとは思えません。
そこで、母親の遺言書は必須だと言えます。母親の相続時に妹の体調がよくなっているかもしれませんが、姉に対する妬みは長年のもので、なくなるとは思えません。話し合いをしなくてはいけない場合に、まとまらないばかりか、長年の恨みごとを言い出す機会になりかねません。
よって、母親の遺言書は必須だとアドバイスしました。
ほどよく分けることも必要
それでも相続したあとの妹の生活は長いと思われますので、ほどよく分けることも必要になります。財産はいったん秀子さんが相続し、不動産は処分して、等分くらいの割合で分けることが妥当だとアドバイスしました。ここでバランスを欠いてしまうと、さらに妬みの対象となりかねません。
遺言書を作る目的は話し合いをせずに、母親の意思で財産を渡せること、遺言執行者を指定しておくことで手続きができることです。
感情的な対立がある場合、本人の説得は難しい
すでに感情的な対立がある場合、いいことでも説得できません。円満な話し合いになるはずがないと容易に想像できます。そうした事態にならないように、母親に遺言書を作成してもらうことは必須です。
秀子さんの母親の年代では遺言書はまだハードルが高く、抵抗感があると言うことですが、妹を説得するより母親を説得するほうがはるかに楽だとアドバイスしました。
秀子さんは早速母親を説得すると言って帰られました。
曽根 惠子
株式会社夢相続代表取締役
公認不動産コンサルティングマスター
相続対策専門士
◆相続対策専門士とは?◆
公益財団法人 不動産流通推進センター(旧 不動産流通近代化センター、retpc.jp)認定資格。国土交通大臣の登録を受け、不動産コンサルティングを円滑に行うために必要な知識及び技能に関する試験に合格し、宅建取引士・不動産鑑定士・一級建築士の資格を有する者が「公認 不動産コンサルティングマスター」と認定され、そのなかから相続に関する専門コースを修了したものが「相続対策専門士」として認定されます。相続対策専門士は、顧客のニーズを把握し、ワンストップで解決に導くための提案を行います。なお、資格は1年ごとの更新制で、業務を通じて更新要件を満たす必要があります。
「相続対策専門士」は問題解決の窓口となり、弁護士、税理士の業務につなげていく役割であり、業法に抵触する職務を担当することはありません。
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