経営セーフティ共済でリターンを狙え
資金繰りと節税を兼ねた施策として、生命保険に加入する人は多い。保険料を損金にして(保険料の50%までを損金に算入するなど)経費を作るというやり方である。それも節税手法の一つだが、あまりオススメしない。
なぜなら、生命保険は満期前に解約すると返戻金が減るのが一般的。解約時の解約返戻率が8割だった場合、掛金の8割しか戻らない。
そこで検討したいのが、経営セーフティ共済。中小企業倒産防止共済制度とも呼ばれるもので、小規模企業共済と同様に、中小機構が運営している制度。取引先の事業者が倒産した際に、連鎖倒産や経営難に陥るのを防ぐためのもの。
特徴は2つ。1つは、担保なし、保証人なしで、回収困難になった売掛金や債権の額か、掛金の10倍(上限8000万円)まで借り入れることができること。もう1つは、掛金を月5000円から20万円の間で設定でき、掛金を損金(個人事業主の場合は必要経費)にできるため、節税効果も見込めること。
生命保険と比較しよう。生命保険は解約返戻率のピークの時期に解約しないと、目減り額が大きくなるが、中小企業倒産防止共済は契約開始時から40 カ月以降であれば、いつ解約しても掛金が100%戻ってくる。その点で、生命保険よりも使い勝手がいい。さらに、掛金は前納をすると若干だが割引が受けられる。そのため40カ月以降に解約すると、掛金が実質100%を超えて返ってくるのだ!
2024年の税制改正で、一度解約すると2年を経過する日まで損金に算入することができなくなったが、それでも十分使いやすい制度だろう。
菅原 由一
SMG税理士事務所 代表税理士
SMGグループ CEO
SMG菅原経営株式会社 代表取締役
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