交際費は3つの活用法で賢く損金にせよ
まずは交際費について基本を押さえておこう。取引先との接待で、仕事の発注者となる担当者を口説き落とすために、会食の場を設けたり、プレゼントを用意したりすることがあるはず。このような飲食接待活動にかかる費用で、1人あたり(同席した人1人あたり)の金額が1万円(2024年3月までは5000円)を超えるものが会計上の交際費になる。
交際費は原則として損金にできない。しかし、会社が資本金1億円以下の法人であれば、年間800万円までは損金に算入できることになっている。中小企業の多くはこの条件に該当するはず。つまり、800万円までは利益から引くことができ、引いた分だけ税金は安くなる。
ポイントは、年間800万円という上限があること。これを超えた分は経費にできない。仮に交際費が1000万円かかったとすると、経費にできるのは800万円が上限であるため、残りの200万円は損金にならない。
これはもったいない。この問題を解決する方法は3つある。
1, 役員報酬を増やす
まずは社長や役員の交際費を交際費とせず、ポケットマネーから払うようにする方法。当然ながら「自腹でよろしく」と言っても納得しないだろうから、自腹で払っても実質的な手取り額が減らないように、役員報酬の金額を増やす。そして、交際費800万円の上限を超える部分を自腹にする。
役員報酬は損金になるため、800万円の上限を超えてしまう分についても、きちんと役員報酬として損金にできるというわけ。
本人の所得税は増えるけど、損金にできないよりはいいよね。
2, 分社化
2つ目の方法は、分社化。子会社を作り、交際費の上限を増やす方法。仮に年間の交際費が1000万円だった場合、1社で損金に算入できる金額は800万円までだけど、もう1つ会社が増えれば新たに800万円の上限ができる。合計で1600万円の上限となり、残りの200万円も損金にできる。
3, 個人事業を立ち上げる
分社化は交際費の上限を高くする効果が見込めるけど、デメリットもある。例えば、税務手続きが増える。決算も2社分に増える。
そこで考えたいのが、社長個人が個人事業主になる方法。個人事業主は確定申告をする必要があるため、役員報酬を増やして交際費に対応する方法よりもハードルは高い。ただ、会社を作って決算手続きをするよりも楽。
また、分社化すると800万円の枠がもう1つできるけど、800万円という上限が消えるわけじゃない。そのため、会社を1つから2つにしても、交際費が2000万円かかった場合は400万円が損金不算入になる(2000万円−800万円×2社)。
一方、個人事業主の交際費には上限がない。そのため、社長は上限を気にすることなく、4番のエースとして思う存分営業や接待に飛び回ることができる。
中小企業は、社長の人脈や能力で仕事をたくさんとっていることが多く、交際費も社長が中心になって使っている。こういう場合は、社長が個人事業を作る。会社で引き受ける仕事と個人事業で引き受ける仕事をきっちり分けて、会社で使う交際費が800万円の上限を超えないように注意しつつ、交際費を会社と個人事業に振り分けていく。
仕事の分け方としては、例えば、小売店なら実店舗を会社、ネットショップを個人事業などと分け、飲食店なら、1つ目の店は会社、2つ目の店は個人事業に分けることが可能。ただし、どんな分け方でもよいのだが、個人事業のほうでもそれなりに利益が出ることが前提条件。利益がなければ経費を作る必要性なんてないからね。
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