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長年、会社を支え、経営に尽力してきた社長にとって、退職は単なる区切りではなく、新たな人生へのステップです。その際、老後の安定を支える退職金をどのように考えるべきでしょうか。本連載は、税理士兼行政書士の清野宏之氏と社会保険労務士の萩原京二氏の共著『社長の資産を増やす本』(星野書房)から一部抜粋・編集した内容をお届け。本記事では、社長の退職金に関する日本社会の現状と、適切な退職金を受け取るための具体的な方法について解説します。

「相応の退職金をもらえる財務状況」を逆算でつくり上げる

もちろん、役員退職金をもらったことで、会社の屋台骨が揺らいではいけません。

 

たとえば、ある社長の役員報酬が毎月100万円で、年間社長として会社の経営を行った結果、役員退職金規程に則って功績倍率を加味し、退職金1億円という計算になったとします。

 

この場合、社長によっては「いや、うちの会社にはそんな額を支払う余裕はない」と思ってしまうかもしれません。そうではなく、それだけの退職金をもらえるように、逆算して経営を行ってはいかがでしょうか?

 

社長の資産を増やすための大きなポイントのひとつに、退職金があります。とくに中小企業であれば、会社の財務状態を考えて、社長が退職金を多くもらうことをためらう気持ちになるのはわかります。

 

むしろ、最後に退職金をたくさんもらえるよう、がんばりませんか? きっと、「たしかに、社長はそれだけの退職金をもらっていいはずだ」と納得する人も多いでしょう。

社長の退職金は「もらうべくしてもらうもの」

社長を勇退する際に受け取る役員退職金は、社長が物心ともに豊かな老後の生活を送るために不可欠なものです。

 

ただ、どうしても「会社の財務状態への不安」が先に立ってしまうことが多く見られます。実際にわたしがお付き合いのある社長の方々と退職金の話をすると、「いや、もらえるものならもらいたいよ」と答える方が多いのです。

 

このような返事をもらったとき、わたしは「では、もらいましょうよ」とお伝えします。そして、たとえばあと何年ほど社長を続け、勇退時に退職金をいくらもらいたいかを話し合います。もちろん、50億円、100億円といった荒唐無稽な話をするのではなく、常識的な範囲内で話をするのです。

 

たとえば退職金として1億5,000万円ほしいのだとすれば、その額をもらえるように逆算で考え、財務状態をもっとよくしたり、積立商品を使ったりといった形で段取りを組んでいきます。

 

社長の退職金は、勇退時にもらえる分だけもらうのではなく、もらうべくしてもらうものです。段取りを組んでスケジューリングを行えば、社長の心にわくわく感が生まれ、経営にいい影響を与えることでしょう。

 

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