(写真はイメージです/PIXTA)

近年、日本の少子化は急速に進んでおり、その影響は婚姻数の減少にも表れています。しかし、その背後には単なる「結婚したくない」という意識の変化だけではないようです。本稿では、ニッセイ基礎研究所の天野馨南子氏が、新たな家族観とその背景について、詳しく解説します。

東京都在勤の若者が最も支持した働き方は?

日本全国、有効求人倍率がほぼ1以上と人手不足が強まる中で、東京都と福井県はともに年間を通して約1.8倍という、人材確保の激戦区となっている*。また、東京都は全国の若者に人気の就職先として、若者の転入超過エリアであり、東京一極集中もほぼ20代前半の就職期に集中して発生している。

*独立行政法人労働政策研究・研修機構ホームページ「職業紹介-都道府県別有効求人倍率」

 

そのような背景から、東京商工会議所が2024年8月に、東京在勤の18歳から34歳の若者の理想のライフコースを調査した。その中で、「結婚・子育てを想定した場合、望ましいと思う制度」について、制度の利用状況とともに質問した結果が以下である(図表2)。

 

 

 

3つまで選択可能なマルチアンサーで、家族を持つまで(結婚)、持った後(子育て)についての望ましさについて分けることなく尋ねている*が、1位がテレワーク61.2%、2位がフレックスタイム制58.5%となり、そのほかの柔軟な働き方を大きく引き離す結果となった。

*同調査の回答者属性の婚姻内訳は、既婚35.6%、非交際の独身34.5%、交際中の独身29.3%、その他の多様なパートナーシップが0.5%。自身の婚姻状況に関わらず、結婚や子育てを想定して望ましいと思う制度について、若い世代の意見を知ることができる点が興味深い。

 

柔軟な働き方というと、中高年はどうしても「時間」視点のみでとらえがちであるが、テレワークという「場所」の柔軟さが若い世代から強く求められていることを、雇用者は知っておく必要があるだろう。そして、その希望にこたえることが、人口減の抑制につながる可能性を高めることも知っておきたい。

 

現在の10代から20代後半人口までのZ世代は、デジタルジェネレーションとしても知られている。親世代よりも圧倒的にデジタルの使用に慣れ親しみ精通した「情報強者」世代が、「タイムレス」のみならず「ボーダレス」な働き方*も重視するのは当然といえるかもしれない。

*「ボーダレス」を中高年は国際的、といったイメージでとらえやすいが、そうではなく、同じ業種、同じ職種であっても、「場所に縛られずに勤務できる」ようなDXが求められていることに気づきたい。

 

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※本記事記載のデータは各種の情報源からニッセイ基礎研究所が入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本記事は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
※本記事は、ニッセイ基礎研究所が2025年1月16日に公開したレポートを転載したものです。

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