【現地メディアの見解】モンゴル経済は限界?政府の「巨額支出」の行く先…「国民に配布されたストーブ」が示す“財政の歪み”

【現地メディアの見解】モンゴル経済は限界?政府の「巨額支出」の行く先…「国民に配布されたストーブ」が示す“財政の歪み”
(※写真はイメージです/PIXTA)

本連載では、モンゴルの視点から見た国際ニュース、また同国社会の政治的・経済的ニュースを取り扱う現地モンゴル・ウランバートルのメディア『The UB Post』より翻訳・編集してお伝えする。

低所得者にはわずかな恩恵、高所得者には負担?

昨年3月31日の新年演説で、オヨーンエルデネ首相は2024年の経済見通しについて前向きな発言をしていた。経済成長率は5%に達し、外貨準備高は51億米ドルに増加する見込みだと彼は話した。また、国民や企業からの提案をもとに、税制や社会保険法の改正案を提示する予定であると述べていた。一見すると前向きな政策のように聞こえるが、実際には、税負担の重さに不満を募らせる国民をなだめるための一時的な措置に過ぎなかったように思える。

 

たとえば、財務省や関連機関の担当者たちは税制改革について頻繁に会合や議論を行っている。しかし、専門家によれば、これらの「改革」は表面的なものであり、問題の本質に迫るものではないという。モンゴル物流協会の会長であり研究者でもあるA・ムンフボルド氏は、このアプローチを批判し、次のように指摘した。

 

「確かに、税負担は重い。だからこそ、国民や企業にかかる実際の負担を正しく把握するために、包括的な社会経済分析を行う必要がある。特に、中間層への影響を慎重に考慮しなければならない。

 

モンゴルの現在の税制は、国民にとって大きな障害となっている。同じ規模の経済を持つ国々と比較しても、我が国の税率は異常に高い。誠実に納税している国民や企業は長年苦しんできたが、一方で、税逃れや抜け穴を利用する者たちは得をしている。

 

ジャブフラン大蔵大臣が『2ヵ月で税制を見直せる』と主張するのは非現実的だ。彼の発言を聞く限り、実際には表面的な調整しか行うつもりがないように思える。昔から『木を見て森を見ず』という言葉があるように、問題の根本を無視していては何も変わらない」

 

実際、ジャブフラン大蔵大臣の発言は国民の信頼を得るには至っていない。ある市民は、政府の提案を次のように要約した。

 

「彼らは、付加価値税(VAT)を微調整することで税負担を軽減しようとしているに過ぎない」

 

この指摘は非常に的を射ている。大蔵大臣は低所得者層向けのVAT優遇措置を導入する計画を明らかにした。しかし、ここで重要な疑問が浮かぶ。

 

「モンゴル政府は、より多くの収入を得ようと努力する国民に対して、むしろ経済的な圧力を強めることで、その意欲を削いでしまっているのではないか?」

 

この政策は、高所得を目指す人々に対して罰則を課し、低所得者層にはわずかな恩恵を与えるという仕組みになっている。これでは、経済的な向上心を持つ市民の意欲を削ぐだけでなく、不平等を助長することにもなる。結果として、中間層や誠実に納税している人々が最も大きな負担を背負わされることになるのだ。

 

政府が表面的な改革にこだわり、税制の根本的な問題に踏み込もうとしない姿勢は、国民の生活向上に対する本気度が欠けていることを示している。公平性、透明性、経済成長を重視した抜本的な改革がなければ、重税、賃金停滞、国民の不満という悪循環は続くだろう。

 

結局のところ、政府の最も重要な責務は、国民に奉仕することであり、負担を増やすことではない。本当に意味のある税制改革とは、公平で持続可能な制度を確立し、努力した者が正当に報われる環境を作ることだ。国民全体が恩恵を受けられる税制度を実現しなければ、政府の「改革」という言葉は空虚なままであり、国民との信頼関係はますます損なわれていくだろう。

 

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この記事は、GGOが提携するモンゴル・ウランバートルのメディア『The UB Post』が2025年2月3日に掲載した記事「Taxes favor authorities and burden citizens」を翻訳・編集したものです。

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