億を稼ぐ「仕事ができる人」は守っている…元ゴールドマン・サックス証券マンが「最強の武器」と語る、ルール

億を稼ぐ「仕事ができる人」は守っている…元ゴールドマン・サックス証券マンが「最強の武器」と語る、ルール
(※写真はイメージです/PIXTA)

億を生む意思決定では、「確実性」よりも「スピード感」を優先する必要があります。「速くて正しい」ことがベストではありますが、「速くて間違っている」と「遅くて正しい」では、果たしてどちらの方が良いでしょうか。本記事では、田中渓氏の著書『億までの人 億からの人 ゴールドマン・サックス勤続17年の投資家が明かす「兆人」のマインド』(徳間書店)より一部抜粋・再編集し、意思決定のスピード感と確実性について詳しく解説します。

「スピード感」が億を生む鍵

ゴールドマン・サックス時代後期、僕は主に不動産投資を扱っていましたが、やはりここでもスピード感が億を生む鍵になっていました。そこに確実性がプラスされると「最強」が「無敵」に進化します。ゴールドマン・サックスでは、このような交渉の仕方をよくしていました。

 

たとえば、A社に「ウチのあそこの土地を3週間以内に100億で売りたい」という急な事情が生じたとします。その土地は半年という時間をかければまず100億で売れる土地。ですが、どうしても3週間以内に売らなければなりません。さて、どうするか?

 

まずは手堅い大手のB社に持ち掛けます。すると、「わかりました。しかし急すぎる案件なので、ここでは決められません。3週間も間に合うかどうかわからないので、一旦、持ち帰って検討させてください。数日お時間をいただきますが、結果はこちらからご連絡します」と言われてしまいます。

 

そこでA社は「ご検討よろしくお願いします」と頭を下げながら、ゴールドマン・サックスにも来ます。そこで僕たちはどうするかというと、「90億なら3週間で確実に買います」と伝えます。当然、A社は迷うことになります。もしかしたら、B社が言い値の100億で買ってくれるかもしれないわけですから。そこでA社は「社長の確認をとって、3日以内にご連絡します」と僕たちに返事をしたとします。

 

それに対し、僕たちは「3日後になったら私たちの買値は85億になってしまいますよ。その代わり、今ここで決めてくださるのなら90億で必ず買います」と返します。すると、A社は「う〜ん……確実に買ってくれるんですよね」とふたたび迷います。「本当は100億で売りたいけれど、B社はその場での意思決定がなかったうえに、断られるかもしれない。それなら90億であっても確実に売れるゴールドマン・サックスで手を打ったほうがいいのでは?」と考えるからです。

 

結果、「……わかりました。では90億でお願いします」と折れてくるもの。A社のような状況においては多くの場合、価格を犠牲にしても、スピードに欠け確実性の低いB社より、スピード感のある僕たちのほうを選んでもらいやすいのです。

 

市場価値よりも安い、90億円で土地を購入した僕らは、じっくり時間をかけて100億円で売却したり、さらに付加価値をつけて120億円で売却したりして利益を得るわけです。

プレッシャーと引き換えに大きなリターンを得る

もちろん、そこからは僕たちも大変です。何しろ、A社に「確実に買う」と約束した以上、本当にすぐにお金を動かすために東奔西走しなければならないからです。とはいえ、スピード感のある意思決定をして、「確実にやる」と明言して実行すると、責任やプレッシャーははかりしれないほど背負うことになるものの、大きなリターンを得ることができるのも事実。億を手にするなら、「意思決定」「スピード感」「確実性」の3つのキーワードは今のうちから意識しておくべきでしょう。

 

 

田中 渓
投資家

 

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※本連載は、田中渓氏の著書『億までの人 億からの人 ゴールドマン・サックス勤続17年の投資家が明かす「兆人」のマインド』(徳間書店)より一部を抜粋・再編集したものです。

億までの人 億からの人 ゴールドマン・サックス勤続17年の投資家が明かす「兆人」のマインド

億までの人 億からの人 ゴールドマン・サックス勤続17年の投資家が明かす「兆人」のマインド

田中 渓

徳間書店

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