生前贈与する際の注意点
生前贈与を検討している方や贈与を受ける予定の方は、以下の点で注意が必要です。
●贈与契約書を作成する
●不動産の生前贈与には多くの税金がかかる
●相続開始前7年(3年)以内の贈与は相続税の対象となる
●申告に漏れやミスがないかを確認する
それぞれ詳しく説明していきますので、税務調査で指摘を受けたり、税金面で損をしたりしないためにもチェックしておきましょう。
銀行振込にする
税務調査対策として、財産の贈与する場合は現金手渡しにせず、銀行振込で行うなど、資産が移動したことを客観的な証拠として残るようにするのが望ましいです。
銀行振り込みを利用すれば、贈与した人とされた人それぞれに記録として残るため、贈与契約書の通りに生前贈与が行われたと証明しやすくなります。
贈与契約書を作成する
生前贈与は口頭でも成立しますが、口約束では証拠として残らないので、贈与契約書を作成するのがおすすめです。
贈与契約書は、財産を贈与する(される)際に作成する契約書を指し、この契約書を作成することには以下の目的があります。
●贈与が確実にあったことを証明する
●税務調査で贈与の事実を主張できる
税務調査の対象となった際、本当に贈与だとしてもそれを証明するものがないと、借入金や立替金とみなされ、相続財産として相続税が課税されるほか、追徴課税される可能性もあるのです。
しかし、贈与契約書を作成しておけば、贈与であると主張できます。
不動産の生前贈与には多くの税金がかかる
不動産を取得すると、所有者を明確にするため、名義を変更しておく必要がありますが、その際、登録免許税と不動産取得税が課税されます。
不動産取得税は減額措置となり税率が低くなることもありますが、不動産の生前贈与には多くの税金がかかる点を認識しておきましょう。
相続開始前7年(3年)以内の贈与は相続税の対象となる
生前贈与の注意点として、贈与されてから7年以内に贈与者が亡くなった場合、贈与された財産は相続財産に加算されるという点が挙げられます。
これは、相続税対策のために駆け込み贈与をするのを抑止するためのルールで、適用されるのは相続や遺贈で財産を取得した人のみとなっています。
税制改正が行われ、令和6年1月1日以降の贈与に関して、生前贈与の加算期間が、「死亡前3年」から「死亡前7年」に拡大されています。
申告に漏れやミスがないかを確認する
生前贈与の税務調査が入るリスクを減らすためには、無申告を避けるのはもちろん、申告内容に漏れやミスがないかをしっかり確認することが大切です。
自身で行うのが不安な場合は、申告書の作成等を信頼できる税理士に依頼すると良いでしょう。
生前贈与の場合、節税目的で行う方が多いかと思いますが、税に関する専門的な知識が豊富な税理士に依頼すれば、税務調査の対象となるリスクを減らせるのはもちろん、どの程度の節税が可能か、生前贈与をすべきかどうかなど、節税に関するアドバイスももらえるでしょう。
生前贈与の無申告は危険
生前贈与を受けた場合、その額が1年間で110万円を超えるケースで贈与税の申告が必要です。
なかには、税負担から逃れるために、もしくは贈与の自覚がない、などの理由で贈与税の申告をしないケースも少なからずあります。
しかし、税務署はあらゆる手段を使って課税につながる情報を収集しており、贈与税の無申告も見逃しません。
贈与税を申告しなかったり、過少申告したりしていることが発覚すると、重いペナルティが課されるため、生前贈与を受ける場合は申告が必要かどうかを確認し、適切に対処するようにしましょう。
松本 崇宏
税理士法人松本 代表税理士
お客様からの税務調査相談実績は累計1,000件以上。国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴税額ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。
税理士法人松本
税務調査特化税理士法人として全国6ヵ所(渋谷、錦糸町、新宿、横浜、柏、大阪)にオフィスを構え、“成功報酬型”税務調査サポートを提供する税理士事務所では国内No.1の規模を誇る。国税局に勤めていた、いわゆる「国税OB」が複数名所属。税務調査相談実績は累計1,000件以上。一般業種より税務調査が厳しいといわれる風俗業界の税務に10年以上特化し、追加徴税額ゼロ円の実績も多数。
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