(※写真はイメージです/PIXTA)

生前贈与は相続税対策に有効ですが、知らずに行った贈与が思わぬ問題を引き起こすことも。税務調査や重いペナルティのリスクについてみていきましょう。生前贈与の際に避けるべき注意点と、税務署の監視を回避するためのポイントについて、税理士法人松本の代表税理士である松本崇宏氏が解説します。

生前贈与は「税務調査」に注意

先述した通り、生前贈与は節税効果をはじめとしてさまざまなメリットがあるため、取り入れる家庭も多いです。

 

しかし、生前贈与をする場合は税務調査に気をつける必要があります。

 

特に、「申告しなくてもバレないだろう」と思っている人は注意が必要です。

 

ここでは、生前贈与が税務調査される確率や無申告が発覚した場合のリスクについて説明していきます。

 

相続税のほうが税務調査の確率が高い

税務調査はさまざまな税金の申告に対して行われますが、相続税の場合は調査されやすい傾向にあり、調査割合はコロナ禍前で全体の10%程度、簡易的な接触を含めると20%程度と、相続を受けた5人に1人は調査されているということになります。

 

なぜなら、相続税は比較的高額であるため、無申告や申告漏れがあった場合に、その金額も大きくなるからです。

 

それに対して贈与税の税務調査は相続税の約30%の件数にとどまっていますが、決して少なくありません。

 

また、税務調査を行ったうち、ほとんどで申告漏れ等が発覚しています。

 

(出典:国税庁ホームページ平成30事務年度における相続税の調査等の状況)

 

現金手渡しの生前贈与は税務調査のリスクが高い

贈与税申告の中でも、現金手渡しの生前贈与は税務署から疑われやすく、税務調査の対象となりやすいとされています。

 

現金手渡しの生前贈与自体は問題ありませんが、相続税の節税対策として扱われるケースが多いうえ、現金手渡しは贈与の証拠として残りづらいためです。

 

そのため、現金手渡して生前贈与を行う場合は、税務調査で疑われないような対策をとっておく必要があるでしょう。

 

生前贈与の無申告や申告漏れは税務署にバレる

相続税や贈与税から逃れるために、現金手渡しで生前贈与を行おうと考える人もいますが、おすすめしません。

 

なぜなら、脱税になるのはもちろんのこと、たとえ秘密にしていても税務署の調査によって生前贈与の事実が発覚するからです。

 

一般的に贈与の際は贈与者が自身の口座から現金を引き出しますが、税務署職員は、口座の動きを調査して出入金を確認でき、出金した現金の使途が不明な場合はさらに調査して突き止めます。

 

生前贈与の無申告がバレた場合のペナルティ

生前贈与で年間110万円を超える財産を受け取ったにもかかわらず、贈与税の申告をしなければ、税務調査で贈与税の無申告が発覚したときに、本来納めるべき税金の他にペナルティとして以下の税金を納めなければならなくなります。

 

●無申告加算税

●重加算税

●延滞税

 

内容にもよりますが、最も重いペナルティであれば、納めるべき贈与税の最大50%の加算税が課される恐れがあるほか、悪質だと判断されると刑事罰に処される可能性もあるので、正しく申告するようにしましょう。

 

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