「トランプ関税」がカギ…今週の米ドル/円は〈155~160円〉と、高値圏で神経質な展開か【国際金融アナリストが解説】

1月14日~1月20日の「FX投資戦略」ポイント

「トランプ関税」がカギ…今週の米ドル/円は〈155~160円〉と、高値圏で神経質な展開か【国際金融アナリストが解説】
(※画像はイメージです/PIXTA)

先週の米ドル/円は高値更新が続いたものの、何度か反落する場面もみられました。こうしたなか、今週米ドル/円の上昇が続くかどうかは、「トランプ関税」がカギになると、マネックス証券・チーフFXコンサルタントの吉田恒氏はいいます。その根拠と、今週の米ドル/円の市場展開見込みについて、本記事で詳しくみていきましょう。

引き続き「米金利上昇」と「株安」の関係に注目

10日発表の雇用統計が予想より強い結果となったことから、1月FOMC(米連邦公開市場委員会)での利下げ見通しは見送り、さらに2025年中の米利下げ見通しも一段と後退したとされます。これを受け、米長期金利の10年債利回りは一時4.8%近くまで急騰しました。一方で、米国株は主要な株価指数が軒並み急落となりました。

 

このように、米金利は上昇、米国株は下落と、金利と株が反対方向に展開する動きは、基本的に2024年12月から続いてきたものです(図表3参照)。

 

債券利回りと株式の益回りで見たときの後者の比較劣位拡大が、この状況の一因となっていると考えられます。これは過去2年のデータを見ても、今回のように米10年債利回りが4.5%を大きく上回って上昇する局面でみられました(図表4参照)。

 

出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成
[図表3]米10年債利回りとNYダウ(2023年1月~) 出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成

 

出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成
[図表4]米10年債利回りとNYダウ益回り(2023年1月~) 出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成

 

過去2年のケースでは、米金利上昇と株安はほぼ同じタイミングで転換しました。これが、米金利上昇の一巡により株安が転換したのか、それとも逆に株安が広がるなかで、逆資産効果等により景気への悪影響が見込まれ、その結果米金利上昇が終了となったのか、定かではありません。

 

ただ、仮に後者(株安→米金利上昇終了)の面が大きいなら、株安のさらなる拡大はこの先、米金利上昇を終了させる要因になる可能性があります。

 

過去1ヵ月あまり、米金利上昇が続くなか、日米の金利差で米ドル優位が拡大し、それに連れる形で米ドル/円も先週は159円近くまで上昇しました(図表5参照)。

 

したがって、米ドル/円が今週160円の大台トライに向かうかどうかは、米金利上昇が続くかが最大の焦点といえます。

 

出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成
[図表5]米ドル/円と日米10年債利回り差(2024年9月~) 出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成

 

ただし、米金利上昇には「トランプ関税」の影響も見逃せません。

 

先述した加ドル売り・米ドル買いのように「バブル化」の兆しも出てきたことから、「トランプ関税」の動向しだいではバブル化修正にともない米金利上昇、米ドル買いの反転となる可能性もあるでしょう。

 

一方で、さらに米金利上昇が続いた場合、それが株安にどれだけもたらすかも気になるところです。

 

以上を踏まえると、今週の米ドル/円は高値圏での推移が続くものの、米金利上昇と米国株安の動向しだいでは反落に転じるリスクもあるのではないでしょうか。今週の米ドル/円の予想レンジは155~160円と予想します。

 

 

吉田 恒

マネックス証券

チーフ・FXコンサルタント兼マネックス・ユニバーシティFX学長

 

※本連載に記載された情報に関しては万全を期していますが、内容を保証するものではありません。また、本連載の内容は筆者の個人的な見解を示したものであり、筆者が所属する機関、組織、グループ等の意見を反映したものではありません。本連載の情報を利用した結果による損害、損失についても、筆者ならびに本連載制作関係者は一切の責任を負いません。投資の判断はご自身の責任でお願いいたします。

 

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