最大の焦点は、10日公表の「米雇用統計」
米経済の底堅さを示す指標が相次ぐなか、今後の最大の焦点は10日に公表される雇用統計になります。
今週は12月の雇用統計の結果を予想する材料として、11月のJOLTS(雇用動態調査、米財務省公表)などの経済指標が公表されました。11月のJOLTSでは、求人件数が809.8万件(10月:783.9万件)と2ヵ月連続で増加し、市場予想(774.0万件)を上回りました(図表3)。
労働需要の一段の減速を回避しつつ、レイオフに伴う失業は引き続き抑制されており、「雇用の最大化」と「物価の安定」の達成を目指すFRBにとって朗報となりました。離職者のうち、非自発的離職者数は176.5万人(10月:174.8万人)と、2ヵ月ぶりに増加したものの、コロナ禍前の2019年12月の水準(193.1万人)を依然下回っています。
企業は雇用の増加に慎重な姿勢を維持するなかで、大規模なレイオフを回避している状況にあります。なお、米労働省が公表した週次の新規失業保険申請件数も11月以降、失業者が減少傾向にあることを示しており(図表4)、この点は12月の雇用統計における失業率が低水準を維持する可能性を示唆しています。
FOMC議事要旨(2024/12/17、18開催分)では、FOMC参加者が中立水準に向けて追加利下げ余地が存在するとの認識を示すも、最近の予想を上回るインフレ率や、トランプ次期政権の政策運営に対する不透明感などを踏まえて、利下げペースを緩やかに修正すべきとの認識が示されました(図表5)。
ウォラーFRB理事は、FOMC議事要旨の公表に先立って行われた講演で、「政策金利の引き下げペースを減速させる、または利下げを停止するよう求める声が上がっている」としつつ、「だが私は、インフレ率は中期的に2%目標に向かって進展を続け、さらなる利下げが適切になると考えている」と、議事要旨に比べハト派的な見解を示しました。
米国の関税政策については、「関税がインフレに顕著な、または持続的な影響を与えることはない」と発言しました。
2024年12月のドットチャートでは、2025年は2回の利下げが示唆されるなか、関税政策や移民政策などがインフレを招くとの見方から、FF金利先物市場が織り込む利下げ回数は1.7回程度(10日執筆時点)にとどまり、ややタカ派的な状況にあります。
これまで、ウォラーFRB理事は、金融政策の将来の動きを先取りする発言をしていただけに、市場は関税政策の影響を織り込み過ぎている可能性には留意が必要です(図表6)。
東京海上アセットマネジメント
※当レポートの閲覧に当たっては【ご留意事項】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『【米ドル円】東京海上アセットマネジメントが振り返る…1月第2週の「米国経済」の動き』を参照)。
※本記事は東京海上アセットマネジメントの「TMAMマーケットウィークリー」の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が文章を一部改変しております。
※全文は「TMAMマーケットウィークリー」をご確認ください。
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