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定年退職3日後に起きた「まさかの出来事」
退職から3日後、通勤から解放された柴田さんは朝7時過ぎまでゆっくり眠って起床しました。朝食を済ませて珈琲を飲みながら新聞を読んでいると、妻の冴子さんから「大事な話がある」と声を掛けられました。
そこで冴子さんから差し出されたのは離婚届け。冴子さんの口から語られたことは、結婚当時から夫の厳し過ぎる倹約生活をずっと我慢してきていて、残された人生の時間は自分のために使いたいというものでした。
子供たちが小さいときから家族旅行もあまりせず、子供たちが大きくなってからは夫婦2人で出掛けることもまったくなかったこと。一家のサイフの管理は柴田さんがすべて仕切っていたため、冴子さんがたまに友達と旅行に行きたいといっても、1円単位で旅行の予算を提出しなければならなかったこと。クレジットカードで購入した履歴もしっかりチェックされ、レシートと付け合わせて一つひとつなにを購入したかチェックされていたこと。冴子さんはずっと窮屈な思いをしていました。
そんな生活についに限界を感じ、冴子さんは退職までにずっと離婚の準備を続け、柴田さんに対し結婚後に築いた資産の半分と、厚生年金の金額の半額を要求します。
「いやいや待てよ! 働いてきたのは俺だぞ。こんなにカネを貯められたのも俺が管理してきたおかげじゃないか。1億円が半分になるなんて冗談じゃない!」柴田さんはありったけの声で叫びました。
双方弁護士を立て、そもそも離婚に反対だった柴田さんは離婚に応じる姿勢もありませんでしたので協議は難航しました。しかし、1年以上の調停の結果妻の冴子さん側の主張に近い内容にて決着したのでした。
離婚時の財産分与
離婚時には結婚後に2人で築いた財産の半分と、結婚後に掛けてきた厚生年金部分の半分を受け取る権利があります。今回の場合、冴子さんが家庭を支え、自分でもパートをして収入を得て、さらには柴田さんの厳しい監視のもとで節約生活を続けてきたために柴田さんは1億円もの資産を創ることができたと考えられます。そのため、冴子さんの主張に近い形で調停が決着することになったのでした。
また、離婚の主な要因は冴子さんの気持ちを考えずに自分の生活スタイルを強いてきた柴田さんにあるといえるでしょう。お金の使い方は人それぞれで、しっかり計画を立てて、自分たちの望む生活を送ることができるよう管理していくことが最も重要です。
しかし、人生はどれだけ多くお金を残せるかを競い合うゲームではありません。大事なことはなんのために使い、なんのために貯めるのかが、目的でしょう。そのために優先順位をつけてお金を管理していくかが大事です。
そういったビジョンや価値観を共有せず、支出を厳しく管理してしまうスタイルを続けていたことが、結果的に資産の半分と厚生年金の半分を失うことに繋がったといえます。人間関係が壊れることでこのように資産を大きく減らしてしまうこともあります。

